Cantabile
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りで契約したのですか、貴方は」
レゾネクトの目的は、異空間を出ることじゃなかった。
世界を壊す意図も無い。
だったら何故、アリアと契約した?
何故、『女神アリア』の覚醒にここまで拘ったんだ?
娘への愛情とは思えないし、本体のマリアさんも殺してはいなかった。
玉座と階段に座っている人達……
マリアさんのかつての仲間、コーネリアさんとウェルスさん。
アルフリードさんも、まだ生きてるみたいに体を保っている。
何もかもが異常だ。
すべてがおかしい。
私達はまだ、レゾネクトの何かを見誤っている。
「死んだ者は何をどうしようと決して生き返らない。死は生の結果であり、死をどれだけ映そうが時間を戻そうが、生へと返ることだけはありえない。それによって得られるものこそ、『あれ』が見つけた答えだった」
「!?」
レゾネクトが腕に抱いていたマリアさん本体をその場に寝かせ、消える。
間を置かずに現れた先は、階段の上。
「『万霊の言』を用いても、外形を作るだけ。ここに居る『扉』のマリアと日記だったバルハンベルシュティトナバールが、力と記憶を形にしただけの人形であり、老いも朽ちもしないように。命を蘇らせることはできない」
「…………?」
「だが、生前の記憶と新しい肉体、新しい生命力があれば、限りなく蘇生に近い状態で呼び戻すことはできる」
「!! まさかっ……!!」
玉座の肘掛けの外側に浅く座り。
アルフリードさんの、薄い緑色の光を弾く金色の短い髪を指先に絡めて。
レゾネクトは高らかに、歌うように、悪夢の声を上げる。
「最期の最後まで己の信念を貫き通した、弱く強く、全世界、全生命の中で最も美しい魂を持っていた勇者。魔王である俺にも手を伸ばした気高い彼にもう一度……会う」
レゾネクトの狙いは、勇者アルフリードの復活!?
しかも、アリアを必要とする、新しい肉体と生命力って!
「俺が持つ、本人の内なる記憶と、世界中に散らばっていた外側の記憶、神々に与えられていた祝福、新しい生を与える為の器……ようやくすべての条件が揃った。本来は、創造神として完成するまで待つつもりだったがな。お前は、俺の力を得ておきながら、自分の意思で、契約に背を向け続けた。多少の前倒しは因果応報というものだろう? アリア」
「! アリア……っ!」
支えていた細い体が、私の前から突然消えた。
そして。
「お前は創造と救世の女神アリア。俺と共に勇者アルフリードを再誕させる穢れ無い女神にして、神聖なる母体」
軽く曲げた自身の膝の上に、引き寄せたアリアを座らせ。
慈しむ手つきで、涙に濡れた彼女の頬を撫でながら肩を抱く。
「
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