暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Cantabile
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えてないが、じわりと感じるこの圧力……私達が知るレゾネクトとは桁が違う。
 これが、レゾネクトの本体?
 「……彼女が再び此処へ来た後。アリアが泉で眠って以降ずっと、あの世界を見てきた。何が起きても何も無くても干渉はせずに、必要な物を探しながらずっと見ていた。俺が出した結論は、世界の美しさに反した愚か者ばかりが揃っている……だ」
 何かを探してた?
 顔を上げ両腕を広げて、突然何を……
 「……っ!?」
 「神々は自らの種族を高く位置付け、他の生命を導く名目でちっぽけな尊厳を堅持しようとしていた。循環は誰かの指示で回す物では無いというのに。傲慢を罪とするなら、奴ら以上に罪深い存在も無いだろう。それに続く者達も大差無い」
 ……あれは……なに?
 「悪魔共は欲求にのみ従順で、時に賢く時に無能。己の力量も弁まえず手当たり次第に噛み付く愚鈍さは……まぁ、暇潰しには丁度良い見世物だが、度が過ぎると醜悪だ。とても知性を持ち合わせた生命体とは思えん」
 レゾネクトが顔を向ける先。
 高い階段とその頂上に、複数の人影。
 「人間はどちらでもありどちらでもない、まさに狭間。神を真似て何かを構築しては、悪魔の如く簡単に蹴潰し、棄てて、忘れ去る。個々が熱意と飽厭と諦めで閉じた精神世界に在って、抱いた願望すら短い一生の内に貫きもせず、外側からの介入を望み続けている。その癖、他者との間に優劣を付けたがっては一方的な優越感に浸って……欺瞞と虚飾と依存に満ちた人間世界は、何処へ転がって行くのだろうな? いっそ楽しみではある」
 下方に一組の若い男女が肩を寄せ合って座り、中央にベゼドラさんが横たわる。一番上の段にはクロスツェルさんの体が仰向けで寝かされ、彼らを見下ろす玉座と妃席には、青年と呼ぶにはまだ幼さを残した顔立ちの男性と、ティーを膝に乗せたマリアさんが座ってる。
 ……玉座の間か? 遥か昔、神々に選ばれた勇者と仲間が殺され、マリアさんが閉じた異空間。
 だとしたらあれは……。
 私達はどうして此処に? ロザリアさんが自分で跳んだのか、それとも、レゾネクトが呼び寄せた?
 「時司の神バルハンベルシュティトナバールとマリアは同じ。言葉を弄して相手を動かそうなどとは、実に浅はか。ただただ忌まわしく煩わしいだけだ」
 「……ベゼ、ド……ラ」
 「ロザリアさん!?」
 目を覚ましたロザリアさんの手が、弱々しく私の腕に重なる。
 ゆっくり上げた顔を覗くが、うっすら開いた視界はまだぼやけてるのか、焦点が定まってない。
 「ロザリア様」
 一緒に跳んだリースさんも、心配そうにロザリアさんを見つめる。
 「ウェルスとコーネリアはあまりに未熟だった。クロスツェルとベゼドラは俺の物を盗ろうと画策する、執拗なだけの弱者。面白さを考慮すれば、どちらも単純に愚か者
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