15話 トリントンの憂鬱 UC0083 3.5
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・・そうかい。話はわかった。あんたたちのお仲間になる条件はデラーズのお手伝いとビンソン計画を潰すことだね。グチャグチャにしてやるのは大好物さ」
シーマは形相を変え、シロッコの前で不満、鬱憤を話し始めた。
「・・・あの上官のせいで私らの人生が変わっちまった・・・。同じ志の下であんな扱いを受けるなど同士と思えるわけがない!」
シロッコはニヤッと笑みを浮かべた。そしてシーマに語り掛けた。
「・・・辛い思いをしてきたんだね。これからの新時代では貴公のような不幸な体験をしてきたものこそ報われるべきなのだ」
その言葉を聞いたシーマは顔が和らぎ、シロッコを見つめていた。
「そうだ。その顔だ。もう苦しむ必要などない。苦しめた者たちへ贖罪する機会を与え、我々と新時代を歩むのだ」
「シロッコ・・・」
この時からシーマはシロッコへ陶酔することになった。
* トリントン基地 食堂内 12:30
コウとキースは対面でランチを取っていた。
キースはアルビオンの中にある新型試作機の話を持ち出してきた。
「なあコウ。あの艦に積んでいる新型試験機の話だけどさ・・・」
「ああ、耳にしているよ。なんかアレが次世代機ベースなんだとか」
「そうそう。やっぱりモビルスーツ乗りとしてさあ、興味惹かれるよな」
コウは黙ってキースの話を聞いていた。コウはメカ好きもあって志願していた。が、積極性に欠いていた。キースはそのノリの悪さにコウの一番興味のある話を持ち掛けた。
「実はさ・・・その試験機のテストパイロットはこの基地から出すという専らの噂らしい」
コウのスプーンが止まった。キースはやっと聞く気になったかと思い、話し続けた。
「だからさコウ。一足先にその試験機拝みに行ってもいいんじゃない?幸い明日は非番だし、そうすれば実感が湧いてさ、試験のモチベーションも上がるってもんよ」
「・・・そうだな。興味がないと言えばウソだからな。明日覗いてみよう」
その会話をコウたちの丁度後ろの席でニナが聞いていた。ニナはトレイを持ち片づける際、コウたちのテーブルを通過する時に言った。
「貴方たちもあの試験機のテストパイロットを目指すのね。精々頑張りなさい。あの試験機はアナハイムの未来が掛かった代物よ。その重責に貴方たちが担えるかどうか疑問だけど・・・」
その言い回しに若さ故にコウが噛みついた。
「・・・自分らも志願して国の為に兵士になりました。重責という面では民間とは訳が違います」
しかし、ニナはそれに反論した。
「ふう・・・あの1機は貴方たちの1生涯の給与より遥かに凌ぐ程の費用が投じられているの。それにこの先貴方たちの生命を守るものになるの。貴方がそれに上手くいかない場合は
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