Fate/stay night
1165話
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「……ん? んんー……うん?」
目を覚まして横になったまま周囲を見回す。
まず視界に入ってきたのは、眩しい光。
さっきからずっと光が俺の顔に当たっていたんだろう。眩しいとしか言いようがない状況で、周囲に手を伸ばす。
いつもであればレモン達が俺の側で眠っている筈なのだが、全く手に触れる気配がない。
それどころか、ベッド自体がかなり狭い。
疑問が脳裏を占め、そのまま数秒考えてようやく理解して上半身を起こす。
……そうか、そう言えばここはFate世界だったな。
昨日記憶を取り戻したばかりであり、だからこそこんな勘違いをした訳だ。
まぁ、記憶を失っている間も凛や綾子と共に夜を過ごしていたんだが。
正直、昨夜凛に言われたお礼の件を断ったのは、確かにランサーが死んだばかりでそういう気分にならなかったというのもある。
だがそれ以上に、俺自身の倫理観とでも言うべきものが高校生を相手にそういう行為をしたのを激しく責め立ててくるというのもあった。
既に何度となく凛と綾子を抱いてしまった以上、今更と言えば今更なんだけどな。
それは分かっていても……理解と納得は違うと言うべきか。
レモン達に会ったら、何を言われるんだろうという思いもないではないし。
そんな風に考えていると、部屋の扉をノックする音が聞こえてくる。
ただし、こっちに知らせる気があるのかどうかって感じの、小さい音だ。
もし俺が寝ていれば気が付かないのではないかと思うくらいの音。
まぁ、ノックをしている人物に悪意の類があれば、念動力が教えてくれると思うけど。
ともあれ、扉がそっと開き……
『……』
そこから顔を出した綾子と、俺の視線がしっかりと空中で交わる。
お互いに黙り込み、十秒程してから綾子が口を開く。
「なんだ、起きてたのか。折角あたしが起こしてやろうと思ったのに」
「……その割りには、ノックの音が随分と小さかったな」
「そうか? あたしは普通にノックをしたつもりだったんだけど」
「どこがだ」
綾子の様子に溜息を吐き、そのままベッドから立ち上がる。
「きゃっ!」
俺が殆ど裸に近い状態なのを見て綾子が悲鳴を上げるが、その悲鳴にはどこか嬉しげな色が漂っているように聞こえたのは、決して俺の気のせいではないだろう。
実際、目を覆っているように見えて、しっかりと指の隙間からこっちを見ているのだから。
「これまで何度も見てきただろ? 別にそんな風に恥ずかしがったりする必要はないだろ」
「アクセル、恋する乙女というのは恥ずかしがり屋さんなんだよ」
「……指の隙間から思い切り見ている状態で恋する乙女とか言われてもな」
「何よ、散々あたしの身体を貪ったくせに、そういう事を言う?」
「その
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