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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(下) 長い想いは結ばれて
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―5月9日 午後2時 エンジュ大学附属病院 658号室―
エリカは右足の粉砕骨折と診断され、一週間程度の絶対安静及び入院を告知された。(この世界は医療が発達しているため入院期間は短め)
敵の本拠として用いられていたエンジュ大学はそっくりそのまま無事に残っており、砂かぶりになっているだけで掃除すればすぐに利用できる状態だった。
付属病院は昨日のうちに掃除を行って本日より営業を再開。野戦病院の患者たちは希望がない限りそのままこの病院に移送された。
エリカも特に反論しなかった為、この病院で入院していた。
そんなさなかレッドは総動員令解除直後からずっとエリカのそばに付き添っていた。
彼女はこの病院に移されてすぐさま足の骨をもとの配列に直す手術が行われ、その麻酔がかかったままであった。
レッドは昨日から寝ていないためうとうとしつつあった時にワタルが見舞いにやって来る。レッドは丸椅子に座っていた。
「レッド君! エリカ君の容体はどうだい?」
ワタルはかなり心配そうな様子で尋ねてきた。
「ええ。なんでも足が完全につぶれてしまったようで……。ただ皮膚やら骨なんかは足袋のおかげでどうにか残っていたため、一週間程度でどうにか退院できるとのことです」
「そうか……良かったよ。最初エリカ君を見たときは本当何事かと……」
ワタルは自分の事のようにホッと胸を撫で下ろした。
「その割にはきつく言ってませんでした?」
「戦争の真っただ中に司令官たる僕が狼狽してちゃあ仕事にならないでしょ」
ワタルは軽く笑いながら言う。
「まあ確かにそうですけど……」
「あの時ああは言ったけど心の中じゃ本当に心配してたんだよ。いやいやそれにしてもほんと足だけで済んでよかったよ……」
「あれイワークが倒れ掛かってできたものですからね……。あと数秒遅れてたらと思うと身の毛もよだちますよ」
レッドはそう昨日の事を振り返る。
「へぇイワークがねぇ……。それなら本当尚更だよ。あぁ、これお見舞いのアレンジメント。机の上にでも置いといてよ。エリカ君にはやっぱりこれが一番似合うと思うからさ」
ワタルは包みを開けて、白い器の上に色とりどりのピンク系統の花が飾られているフラワーアレンジメントをレッドに手渡す。
「へぇ……綺麗なもんですね。これいくらしたんですか?」
「確か8000円くらいだったかな」
「結構するもんなんですね」
「そうでしょ? 僕なりに一生懸命選んだんだ。本当は手術の後に来るなんて非常識なんだけどこれから色々と忙しくなるから今日くらいしかこれる機会ないと思ってね……その非礼を詫びる意味でも少々値が張ったのを買ったんだ」
「なるほど……。そうですか……ワタルさんこれから色々と大変ですものね」
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