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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(下) 長い想いは結ばれて
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して、レッドさんがジョウトのジムを制覇して、エンジュ騒乱が起こって……、最後の日、エンジュに突入したのを覚えていらっしゃいますか?」
「勿論よ。あいにく私はあんたとは離れた場所に配置されたけれど……」
「それで、それも大詰めのときに私、オーキドにこの身を狙われたのです」

 それからエリカはその時の事を簡潔に話した。

「レッドさんが私のために頭を使ってどうにか状況を打開しようと策を編み出し、見事それを成し遂げた……。これを見て私は、この方にならば……と思いましたわ。自らの命を懸けて恋人を助けるだなんて実際にできる方はそうそういるものではありませんし……。何よりも私の為にそこまでしてくれたのがたまらなく嬉しかったのです」

 ナツメはそこまで聞くと、ふうと息をつき

「そういう事なのね……。少しだけレッドの事見直したわ」
「ええ、そういう事で私は近いうちにレッドさんへ……」
「そのこと、レッドは知ってるの?」
「はい、この間迫られた時に……胸中はお話しいたしました」
「そう……はあーぁ。私とは完全に終わったわけね」

 エリカはそれに少しだけ目を見開いたが、すぐに元の調子に戻り

「ええ……私、そういうだらしのないことは出来ない性分ですし」
「エリカが旅に出る前からご無沙汰になってたし……。いつかはこうなるってわかってはいたけど……」

 ナツメは床にうつむいている。

「しかし、恋仲ではなくともナツメさんは一番のお友達ですわ。そこは絶対に変わりませんから」
「そうね。……、うん」

 そういわれてナツメは少しだけ元気を取り戻した。

「これからあと三つの地方を回るのよね……。大変だと思うけれど、レッドと二人三脚でがんばんなさいよ」
「えぇ。あの方といっしょならば如何な困難があろうと乗り越えられると思いますわ。ナツメさんもこういういい人をみつかるといいですわね」
「うっ……何よその余裕。いいのよ。私は一人のほうが性に合ってるんだから」

 その後、二人のガールズトークは面会時間ぎりぎりまで続いた。
 ちなみにナツメのお見舞いは紫色系統の花がそろうフラワーアレンジメントだった。

―5月12日 午後1時―

 この日はミカンとアカネが見舞いにやってきた。

「久しぶりやねエリカ! 足の具合はどないな感じよ?」

 アカネはいつもの通り闊達な様子でエリカを心配する。

「大分骨もくっついてきたようですし、この調子ならば21日ごろには退院できそうとの事ですわ」
「はぁ……良かったです。エリカさんが入院したって聞いたときは本当どうしたことかと……」

 ミカンがホッと胸を撫で下ろす。

「せやね。何にしてもあんな大戦争やもん。もしかすれば一生もんの傷おうたかもしれんかった
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