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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(下) 長い想いは結ばれて
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「うん。記者会見やら戦争に関しての政府への証人喚問やらで忙しいのなんのって……。まったくリーグのトップも楽じゃないよ」

 ワタルは肩を落としながら話す。

「そういうのってシロナさんとかに任せた方がいいんじゃ……」
「そうはいかないって。これはただの事務じゃなくて昨日までの一件の事なんだから直接は関わってない彼女に説明責任を押し付けるわけにはいかない。それにこういう重大な事はトップがいかなくちゃね」

 このくらい責任感に溢れている人じゃないと理事長の職は務まらないんだろうなと思ったレッドであった。
 ワタルは数秒黙したのち

「この話はいいだろう。それでエリカ君は一週間程度入院するんだっけ?」
「ええ、先ほど話したお医者さんの話によれば」
「そうか……その分旅は出来ないけど平気かい?」
「いいんですよ。パートナーがいなくちゃはじまりませんし。ただ腕が鈍るのは御免なんで近くのスリバチ山とかでも修行しようかなとか思ってます」
「ふぅん……ほんとグリーン君と戦っていたころとは大違いだね。あのころはまさに孤高を貫くって感じのスタンスだったのに」

 ワタルは思い出しながら言う。

「まあポケモンたちとだけ旅するのも悪くはないんですけどね……。今はやっぱり隣にだれかしらいないとどこか寂しいです」
「はは……ごちそうさま。もうすっかり夫婦しているね。僕もいい歳だしそろそろそういう人見つけないとな……」

 その後ワタルとはもう数分ほど話して帰って行った。
 それから一時間後、エリカが目を覚ました。

「お、目が覚めたか……」
「あら貴方……今、何時ですか?」
「15時半くらいかな」
「だいたい四時間くらい眠っていたのですね……。あら、そこのお花は?」

 エリカは机上にあるフラワーアレンジメントに気付く。

「ああ、ワタルさんがお見舞いにだって。今日くらいしか来れそうな機会がないらしくて……」
「左様ですか」
「ねえ、一つ気になってたんだけど……」

 レッドは思い出したかのように尋ねる。

「はい。何です?」
「お前ってこれ何の花か分かるの?」
「まぁ……失礼ですわね。私を誰だと思っているのですか」

 エリカは冗談めかした風でレッドをたしなめる。

「いや分かっちゃいるけど単に興味として」
「フフ。わかってますわよ。こちらの花は楊貴妃にエルセンブルク。いずれもチューリップの種類ですわ。あとはラナンキュラスにスイートピー、ルピナスなども使われてますわね。ピンク系統でまとめられた可愛らしいアレンジメントだと思いますわ」

 エリカはすらすらとすべての花を答えてみせた。分かり切っていたこととはいえやはり華道の師範である。

「流石だな」
「いえいえ大したことありませんわ
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