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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(中) 王国の終焉
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 あろうことか中心部に火が放たれたのだ。
 恐れていた事態が遂に起こってしまった。これに焦った各ジムリーダーや四天王たちは本格的な強襲を開始、家屋の破壊も目立つようになっていった。
 しかし、この時点ではまだそこまで被害は大きくない。

―午後3時30分―

 強襲を開始してからいよいよ戦いは乱戦の体を為していた。
 互いのポケモンたちは丁々発止の戦いをつづけ、倒したり倒れたりを永遠と思えるほどにやり続けた。
 最初の戦い以上に惨憺たる有様になりつつあったのだ。
 そんな最中、レッドとエリカは戦っていた。本来は先鋒と後方支援なので別々のはずであるがこのような有様になってしまったため最早最初に決めた配置など関係がなくなってしまった。
 ここはワタルが指揮すべきところではあったが、ワタル自身も早期の終結を願っていたため関所前で指揮をとるのではなく自らも戦いに参加。一応最低限の包囲戦術は守るようとの厳命は下しているが最早自身のことで手いっぱいの為放置気味であった。

「ロズレイト! ルンパッパ! ワタッコ! ソーラービームです!」

 三本の眩い光線が目前にいる岩ポケモンたちに襲い掛かる。
 もちろんこの一撃で20体ほど倒れたが、イワークがエリカのいる方向に倒れ掛かってきた。
 このイワークはロケット団もといオーキドによる改造の成果か、本来の二倍以上にあたる20mの長さの体をもっていた。
 断末魔をあげながら倒れこんでくるイワーク。普段の彼女ならすぐに避けられたであろうが、朝からずっと立ちっぱなしの上に声を出し続けて疲れているせいか少々動きが鈍かった。

「エリカっ!」

 隣にいたレッドが気付いたころにはもう遅く、影は彼女を包んでいる。
 彼女は咄嗟に横へ避けたが、間に合わず左足がイワークの巨石の餌食となった。
 倒れた瞬間は砂埃が舞い彼女の姿が見えなくなる。
 レッドはすぐさまエリカのもとに駆け寄った。
 
「おい! しっかりしろ!」

 彼は彼女の両脇を抱えながらどうにか引きずり出そうとする。
 ポケモンたちはレッドの指示がなくても自分なりに動いていた。

「貴方……私は大丈夫です……。指揮に戻ってください」

 彼女は痛みを押し殺してレッドに言う。

「大丈夫なわけあるかっ! お前を放っていけるかよ! ふんぬぁぁぁぁぁ!」

 レッドは自身の膂力を発揮してどうにか彼女を引っ張り出せた。
 足袋をみると真っ赤である。どうやら膝より前に出ている足の部分が潰れてしまったようだ。

「こ……こりゃ酷え! すぐに病院へ行かないと……」

 エンジュのすぐ外には傷病人の看護の為野戦病院というべき簡易の医療施設が設けられている。ポケモンセンターと厚労省が主体となり近隣の医者をかき集めて
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