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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(中) 王国の終焉
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負けしたワタルはふうと溜息をついて
「わかりました。エンジュの解放を心より願うものとして共に戦いましょう。但し、あまり無茶はしないでくださいよ」
こうしてエンジュの僧侶たちも戦線に参加することとなった。僧侶たちは主に回復や後方支援を担当し、彼らの参戦によって持久力が大幅に増え戦況は時を経るごとにリーグ有利に傾いていった。
後に塔に避難していたエンジュ市民たちもモンスターボールを持って義勇軍として支援を願い出たがこれはワタルは丁重に断る。
―午後2時 同所―
ワタルはあれからスズの塔関所前を本陣として指揮をとっていた。
漸く完全な包囲が完了し、これより本格的な追い込みを開始しようとしていたとき第三軍司令官のシジマがやってきた。
「理事長殿! 加勢にやってまいりましたぞ!」
シジマは采配を持ち、甲冑姿でワタルに話しかけた。
「わっ! シジマさんなんですかその格好……」
ワタルはその姿を見て目を丸くして言う。
「ワハハハハ! 戦と聞いたらやはり気分を盛り上げねばやってられぬわ! 理事長殿もどうだ。もう一領あるぞ?」
シジマは闊達に笑いながら勧める。
「いや結構です。私にはドラゴン使いの鎧といえるこの服装をもってますから……。それはそうと、よく加勢に来ることができましたね」
ワタルからしたらシジマは年上であることは勿論。自身のジムリーダー時代を知っている数少ない先輩のため敬語で接している。キョウやヤナギ、カツラなども同様である。
「おう。なんだか一時間前から急に敵が撤退し始めてな! 罠かとも思ったんだがどうもそんな気配はないし進んでいったらこの様よ」
「そ……そうですか。なんとも面妖な話ですね……」
「うむ……。まぁともかくワシらは遊撃隊として第一軍と第二軍のフォローに周ろうかと考えているがどうだ?」
「そうですね。我々も第二軍も特に急を要する救援の話は来てないですし……。とにかく助かります! これならば今日中にもエンジュは解放できるでしょう」
「ハハハ! 任せておけ、先日の窮地に比べればこの程度赤子の手を捻るものよ!」
シジマは高笑いをし、金具の音を立てながらワタルのもとを去って行った。
こうして、エンジュ解放戦はリーグ側の圧勝のまま終わると思われていた。
―――――
追い込みの開始から1時間。
エンジュ市街への突入は遅々として進まない。
少しずつ進んでこそいるが、敵側も相当なやり手であり、碁盤の目を利用した小規模包囲や家屋からの奇襲などゲリラ戦術を駆使して思ったように上手くいかないのだ。
そして、午後3時。事件は起こった。
―午後3時 エンジュシティ 某所―
「エンジュが……エンジュが燃えているぞ!!」
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