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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(中) 王国の終焉
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いか?」
「そうですわね……。一度下った命に逆らうことは出来なくとも、最悪の結果を招かないよう尽力することは出来ますしね」

 エリカはそういって少しだけ立ち直った。
 しかし、何にしても戦乱のさなか、自分の身も危ないというのに一体どこまで気を配れるのか、そこが不安なレッドであった。
 その後、二人は明日のために早めに床へつく。

―午後9時―

 仮眠をとっているワタルのもとへ一本の電話が入った。
 眠い目をこすりながらワタルはポケギアを取り出す。
 電話の向こうにいるのはリーグ委員である。

「あの……。ヤマブキの官房長官公邸よりお電話が入っております」

 委員は緊張のあまりか震えた声で言う。

「え!? 一体どういうことだろう……。分かった。とにかく回して」

 これまで政府からの勧告はすべて文書であり、政府高官、それも総理大臣に次ぐ地位をもつといって過言ではない官房長官から電話がかかるなど前代未聞のことである。
 ワタルは襟を正して相手が話すのを待った。

「もしもし……貴方が、ポケモンリーグの理事長ですか?」

 相手は存外丁寧な様子でワタルと話した。
 エリートらしく細く、しかししっかりとした調子の声である。
 話の内容はやはり翌日よりはじまるエンジュ総攻撃に関してのことであった。

「我々政府としてもこの事態は可及的速やかに処理し、エンジュシティそのものの復興へつなげていきたいのです」
「それは勿論の事です。ですから出来る限り短期間でロケット団を制圧し、エンジュを解放したいと考えております」
「それは結構なことですが……。我々にはあまり時間がないのです。反乱に時間をかけすぎれば、国民のみならず国際的な非難を浴びるのは必定です。そしてそれは我々だけでなくあなた方リーグも同様でしょう」
「えぇ……」
「それで先ほど総理や大臣ともお話をしたのですがね……。明日中にエンジュを解放できなければ、9日に決議に基づいて自衛隊の強制介入を行うこととしました」
「そ……そんな乱暴な! エンジュシティは大事な国宝がたくさんあるのですよ!? ジムリーダーのエリカも先ほどその件で直談判に来たくらいで……」
「エリカ……さんですか。同学年だった私の孫からも聞きましたよ。大変な別嬪で、怜悧なお方であったとね……。なるほどそんな彼女ならばそのくらいのことは仰せになるでしょうねぇ」
「話をそらさないでください! と、とにかく明日中に陥落するというのは不可能とはいいませんけれどね、それにはエンジュ市街に甚大な被害が……」
「理事長さん。国民はエンジュの街並みがどうこうよりもロケット団の一日でも早い一掃を願っています。確かにエンジュに残る国宝や文化財は何物にも代えがたい価値をもっています。しかし、それに気を
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