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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(中) 王国の終焉
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に突入したとき無事だったのは、市中奥深くまで入れなかったからこその奇跡なのだ。
 また仮にロケット団が炎技を使わなかったとしても、証拠を残さないため、もしくはヤケクソになってエンジュ市街に火をつけることも十分に考えられる。当初の構想にあった誘き出し作戦では最終的にエンジュに入っているがあれはあくまで敵が消耗しきった後で行う見当で想定されているため、損害はごく軽微ですむと思われていた。
 彼女自身もそのくらいならばやむを得ないと目を瞑ったのだろうが、今回は敵の多くがエンジュに籠城したままでの総攻撃である。エンジュの街がただで済むはずがない。

「エリカ君……どうか分かってくれよ。我がリーグの面目を保つ為にはもうこれしか方法がないんだ。世間は昼までと打って変わってロケット団の徹底的な壊滅を願っているのだから」
「我々はいつからそのような機関になったのですか! 世間はどうであれ、リーグはリーグで超然を貫くのが本義というものでしょう! 民衆のご機嫌取りに伺うのがポケモンリーグとでも仰せになるのですか?」

 ワタルは立ち上がって、エリカに背を向ける。

「エリカ君。それは綺麗事というものさ。僕らの機関は寄付など100%民間からの助けで成り立っている。勿論、君含めジムリーダーの副収入の一部も内訳には入っているが、申し訳ないがそれだけではとてもやってはいけない」
「お金が不足というのであれば当家がいくらでも都合してさしあげ……」

 彼女が自らの財力を持ち出したところでワタルは遮る。

「それは嬉しいが、それだけの問題じゃないんだ。僕らの存在意義はトレーナーたちが自身の向上のためにポケモンを育て、その証たるリーグバッジを取っていき、将来へと活かす為にある。まぁ勿論他にもあるけれどこれが大きな柱といっていい」
「何がおっしゃりたいのですか?」
「そのトレーナーたちが君や僕たちに挑んできてくれるのは、僕らを"強い"存在。もしくは”超えるべき壁”と認識してくれるからこそ。それなのにここで何も動かずに、最悪、自衛隊が動いてごらんよ? 子どもたちはなんて思う?」

 エリカはその言葉にハッとさせられたような表情になる。

「答えはいろいろあるだろうけど少なくとも僕らを挑むべき強い相手とは思ってくれなくなるだろう。それを言い出したらこの前の三軍の敗北なんて最悪な事だけどあれはマスコミが上手くシジマさんの脱出劇を脚色してくれたからあまり責められずに済んでるけどね……」
「確かに……そうですわね」
「それ以外にも僕が昨日交渉に失敗したりで失態を重ねているけど、あれはまだロケット団が悪い組織だという前提があるからこそそれを戦っている僕らに分というか、正義という形で誹りをどうにか逃れているんだ。しかしこれがリーグではなく政府の手に渡ったらそうはい
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