暁 〜小説投稿サイト〜
大地はそこに
7部分:第七章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後

第七章

「イナゴとか蜂の子とか」
「食べますけれど」
「なら抵抗はないですね」
「ええ、まあ」
「私達も食べたことがありますし」
 そうした経験はあるとだ。二人も話した。
「蜂の子でしたら」
「あります」
「なら問題はないですね。召し上がられますか?」
「それじゃあ」
「今から」
 こう話してだった。そのうえでだ。
 彼等はだ。少し戸惑いを見せながらもそのうえでも食べるのだった。そうしてだった。
 彼等はミツアリを手に取って食べる。するとその味は。
「甘いですね」
「蜜の味がちゃんとしますね」
「はい、美味しいでしょう」
 勿論ガイドさんも食べている。老人もだ。掘った穴に入ったまま食べている。
 そうしながらだ。笑顔でいるのだった。
「これがご馳走なんですよ。この国の」
「滅多に食べられないものですね」
「本当にそうですね」
「そうです。手間もかかっていますし」
 わざわざ掘ってだ。そうして手に入れたものだからだ。
「この人達はずっとこうして食べています」
「こうしたものをですか」
「ずっとなんですか」
「食べていっています。それでどうでしょうか」
 ガイドさんはふとだ。二人にこう尋ねた。
「この味は」
「味ですか」
「蜜の味がしてとても甘いですね」
「そこに蟻の香ばしさもあって」
「とても」
「そこにさらにありますね」
 こうだ。二人に尋ねるのだった。
「もう一つの味が」
「そうですね。何といいますか」
「この味は」
「はい、大地の味ですね」
 それだとだ。夫婦に話すのだった。
「アボリジニアンの人達はずっと。この味と一緒になんですよ」
「大地の味とですか」
「それと」
「そうです。ずっとずっと」
 そしてだ。さらに話すのだった。
「ずっと一緒にいるんですよ」
「大地とですね」
「一緒にですか」
「そうして生きている人達も。オーストラリアにいるんですよ」
 また話すのだった。
「それもまたオーストラリアなんですよ」
「この国はシドニーだけじゃない」
「羊だけじゃないんですね」
「はい、それも御覧になって頂きたかったのです」
 これが彼が二人に見せたいことなのだった。まさにだ。
 それを話してだ。そのうえでだ。
「それでですけれど」
「はい、それで」
「何でしょうか」
「アボリジニアンの食事や生活を。もっと知られますか」
 こうだ。二人に提案するのだった。
「そうされますか」
「はい、それでは」
「是非」
 二人はそのミツアリを食べながらガイドさんの言葉に頷くのだった。
 そしてそのうえでだ。二人はガイドさんと共に老人と、アボリジニアンの食事を食べるのだった。それがまさにだ。大地であった。


大地はそこに   完
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ