第五章
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「雨が止むまで雨宿りをするつもりなんだ」
「そう、じゃあね」
「じゃあ?」
「私も一緒なのよ」
愛衣もここで困った顔をした。
「傘持ってなくて」
「それでなんだ」
「ええ、雨宿りしようって思ってるの」
学校の中でというのだ。
「とりあえずね」
「そうか、じゃあこれからな」
「これから?」
「部室入ろうか」
信彦は少し考えてから愛衣にこう提案した。
「今日部活ないけれどさ」
「部室で漫画を読んでね」
「そうして時間潰してな」
「後は、なのね」
「ああ、雨が止んだらな」
「帰るのね」
「そうしないか?」
これが信彦の提案だった。
「これから」
「いいわね、部活はお休みでもね」
「部室の鍵借りてな」
「それで部室に入って」
「漫画読みながら雨が止むの待とうな」
「漫画なら一杯あるからね」
漫画部だけあってだ、漫画を描く為の資料として置いてあるがその数は相当なものになっていて読むには困らないのだ。
「それを読んで」
「待とうな」
「じゃあ進撃の巨人を読んで」
「俺がっこうぐらし読むな」
「あの漫画凄いわよね」
「日常系の漫画だって思ってたらな」
それが、というのだ。
「ゾンビが出て来て」
「実は周りはゾンビだらけで」
「大変な状況だからな」
「あの設定には驚いたわ」
「その漫画を読んでな」
「時間潰すのね」
「雨が止むまでな」
こう話してだった、実際に。
二人で部室で漫画を読んで雨が止むのを待った、すると一時間も経たないうちに。
外から激しい雨音がしなくなった、それで二人で窓の外を見るとだ。
雨は止んでいた、それを見てだった。
信彦は微笑んでだ、愛衣に言った。
「止んだな」
「そうね、じゃあね」
「帰ろうか」
「そうしよう、やっぱりね」
「ゲリラ豪雨だったな」
信彦は微笑んだまま愛衣にこうも言った。
「この時間の雨はいつもこうなんだよな」
「そうそう、夏だとね」
「じゃあ帰ろうか」
こう話してだ、そしてだった。
二人でだ、共にだった。
下駄箱で靴を履いてだった、学校を出た。その時にだった。
愛衣の方からだ、信彦に言って来た。
「これからどうするの?」
「これから?」
「何か予定ある?」
「いや、今日はな」
信彦は浮かない顔で愛衣に答えて話した。
「運が悪いことばかりだからな」
「それでなの」
「帰って風呂入って寝ようってな」
「そう思ってるの」
「晩飯も食ってな」
「そういえば体育の時クラスの女の子と言い合ったって?」
愛衣はここで信彦にこのことを問うた。
「何か」
「ああ、あいつとは」
「向こうから言って来たらしいけれど」
「そうだよ、ジロジロ見るなとかな」
「そうだったの」
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