第一部
第六章 〜交州牧篇〜
八十四 〜復活、青竜刀〜
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。孫堅さんが城下に来られているとか」
「昨日会った。城内に案内しようとしたのだが、内密の話という事でな」
私は、睡蓮から聞かされた事を、二人にも全て話した。
真名を預かり、共に励む仲間に隠し立てをするつもりはないし、その必要もあるまい。
無論、他の者達にも話しておかねばならぬ内容だが、各々にも務めがある。
頃合を見て、個々に話すより他になさそうだ。
「なるほど。確かにあまり他言出来る内容ではないですね」
「……ただ、その為だけに態々、という気もしますが」
「何か、他に目的があると言うのだな?」
愛里と桜花、顔を見合わせてから頷いた。
「ならば、問い質せば良かろう。腹に一物、というのは性に合わぬ奴だ」
「そうですね。……とりあえず、今日の落款を片付けましょうか」
愛里の合図で、文官らが書簡の山を抱えて入ってきた。
「では、私も自分の仕事に戻ります」
剣を振るっている方が気は楽だが、さりとて放り捨てる訳にもいかぬからな。
励んで、少しでも早く終わらせるとするか。
夕刻。
「かーっ、やっぱ美味え!」
「あら、孫堅様もお気に召しているのですね?」
「あー、堅ぇ。俺の事は睡蓮でいいからよ、な?」
「はっはっは、相変わらず豪儀ですな。ささ、もう一献」
歓迎の酒宴、案の定この三名が大いに盛り上がっている。
「暫くぶりだな、飛燕」
「ええ、彩(張コウ)も元気そうで何よりです」
そして、此方では旧交を温め合っているようだな。
「疾風(徐晃)。他国の間者は全て排除出来ているのだな?」
「はい。明命殿にも手伝っていただきました、これでも防諜が不完全というならお手上げです」
明命もまた、睡蓮の身辺警護を兼ねて交州に来ていた。
姿は見せぬが、城外を疾風の手の者と共に警戒しているらしい。
「では歳三殿。私も警戒に戻ります」
そう言い残し、疾風は姿を消した。
これで、心置きなく話せる状態になった。
……が。
「おお、いい呑みっぷりだな! 紫苑」
「いえいえ、睡蓮様こそ流石ですわ」
「このメンマも召し上がって下され。私の秘蔵ですぞ」
本当に、酒を呑みに来ただけではないのか、と言われても反論出来ぬのではないか?
「飛燕、良いか?」
「あ、歳三様。どうぞ」
「殿。私は外しましょうか?」
気を利かせようとして、彩が腰を浮かせる。
「いや、構わぬ。……睡蓮があの調子なのでな、飛燕に話を聞きたい」
「はい。あれでは仕方ありませんものね」
「全く。お前も殿のところに来れば良かったのだ。孫堅殿が英雄である事は認めるが、あれでは」
端正な顔を顰める彩。
「そう言うな。睡蓮様はああ見えて、一癖も二癖もある揚州の豪族達を束ねているのだ」
「それはわかるが……しかしな」
「ふふ
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