第三章
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「あの国の者達だ」
「左様ですか」
「ここで、ですか」
「あの国の者達ですか」
「ご主人様を召喚ですか」
「嫌だが召喚されたのならな」
実に嫌そうに言うアスモデウスだった。
「行くしかない」
「左様ですな」
「では行ってらっしゃいませ」
「留守はお任せを」
「ではな」
アスモデウスは非常に嫌そうな顔でだ、己の大公の座から姿を消してだった。
人間界に出た、魔法陣から姿を出すと。
まだ若いブレザーを着た少年がだ、彼の姿を見て言った。
「ああ出て来たよ実際に」
「何か用か」
「うん、まず僕の名前を言うね」
眼鏡をかけて髪の毛を茶色にしている小柄な少年だ。顔はアジア系のものだ。
「遠山郁夫っていうんだ」
「遠山郁夫か」
「郁夫って呼んでね」
「わかった、では郁夫よ」
アスモデウスは声にも不機嫌なものを出して郁夫に尋ねた。
「余に何か用か」
「実は好きな人がいて」
「男か女か」
「女の子だよ。この娘ね」
携帯の画像を見せて来た、見れば彼と同じ位の年代の体操服と半ズボン姿の長い黒髪の少女だ。目は大きくはっきりとしていて睫毛が長い。唇は紅で大きめでだ、胸も脚も浮き出ている感じだ。
「同じクラスの池田真由里さん」
「可愛いな」
「手を出さないでね」
「誰が契約相手の依頼相手に手を出すか」
アスモデウスはこのことは怒って返した。
「余は確かに女好きだがな」
「人間の女もだね」
「少なくともそなたの一億倍は知っておる」
「あれっ、一億倍なんだ」
「御主キスもまだだな」
「まあ実はね」
「見ればわかる、童貞だな」
キスもまだという位のだ。
「どうせそのおなごと、と考えておるのだろう」
「鋭いね、やっぱり」
「馬鹿にするな、余は大公だぞ」
魔界のだ。
「それ位顔を見ればわかる」
「ううん、人生経験多いんだ」
「そこは悪魔生経験としろ、とにかくその娘と交際したいのだな」
「出来れば結婚を」
「適えてやる、そして供物は」
見ればだ、それは。
パックの中の鶏の胸肉に肝にだった。
パンやお菓子、そうしたものだった。アスモデウスはそうしたものを見て言った。
「パックの鶏肉も大概だがな」
「あれっ、駄目だった?」
「スナック菓子にチョコレートとはな」
「捧げものだけれど」
「仏教のお彼岸のお供えか」
こう郁夫に問うのだった。
「これは」
「えっ、ちゃんと悪魔への」
「生贄か」
「鶏が生贄だよね」
郁夫は平然としてアスモデウスに問うた。
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