第一章
[2]次話
計画的失言
某国は隣国との間に様々な厄介な問題を抱えていた。その問題の多さと複雑さ、根の深さはかなりのものだった。
「また言ってきたのか」
「はい」
補佐官が大統領に答えた。
「左様です」
「先の戦争のことか」
「そして領土問題についても」
「そのどちらもだ」
まさにとだ、大統領は強い声で言った。
「既にこちらの主張は述べているが」
「しかしあの国はです」
「こちらの言葉は聞かないな」
「全く」
ただ聞かないだけでなく、というのだ。
「自分の要求を全て飲めと」
「話にならないな」
「全く以て」
補佐官も苦い顔である。
「これでは」
「外交にならないな」
「この有様では」
「しかもだ」
ここで大統領はこうも言った。
「その二つの問題を集中的に言っているが」
「そのことからです」
補佐官も言う。
「我が国の文化遺産登録までです」
「言い掛かりというか」
「抗議をしてです」
「そしてだな」
「各国に喧伝して登録を妨害してきています」
「厄介なことだ」
「それも非常に」
「ここはだ」
それでとだ、こう言った大統領だった。
「言えない様にしておくか」
「と、いいますと」
補佐官は大統領の言葉に問い返した。
「一体」
「幸い我が国とあの国の経済関係は深い」
隣国同士でもありだ、それは相当なものだ。
「というかはな」
「はい、我が国があの国の経済を支えています」
「まさにな」
「そうですね、それこそ我が国が何かをすれば」
それこそである。
「あの国の経済に大きな影響が出ます」
「これ以上はないまでにな」
「そうですね、では」
「ここはそこから攻めてだ」
そしてというのだ。
「色々言わせない様にするか」
「文化遺産登録についても」
「他のこともだ」
「ではどうして攻めますか」
大統領の言葉を受けてだ、補佐官は早速その攻め方について大統領に問うた。
「ここは」
「その攻め方だな」
「はい、経済制裁でしょうか」
補佐官はまずは経済的な攻撃方法として一番ポピュラーなやり方を尋ねた。
「それかエネルギーの供給規制でしょうか」
「どっちも効果があるな」
「それも非常に」
「そうだな、しかしどちらもだ」
経済制裁もエネルギーの供給規制もというのだ。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ