変化は永遠に……
終章 東方変形葉
最終回 「成長」
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「けほっ」
情けないくらいに弱い咳をひとつして、俺はまた立ち上がった。
さすがは妖怪の賢者、八雲紫。一筋縄ではいかない。それどころか俺が一方的にボコられているという有様である。
俺は何故か紫に勝負を挑まれて今に至る。勝負は勝負でも、真剣かつ本気の勝負である。
そういえばいつか美鈴に聞いたことがある。たくさんの武道をかじった専門家みたいな武術家よりも、一つの武道を徹底的に極めた武術家のほうが強いのだと。
今まさにそれだ。俺は変化を操ることができる。変化を操る力をしのげる能力はどこにも存在しないと紫は言った。しかしそれを使いこなせていないがゆえに、“境界”を難なく操りこなす紫には歯が立たない。
「あら、どうしたのかしら。もう終わり?」
「まだだ……っ!」
しかし諦めるものか。
紫は何かを企んでいる。それは恐らく、俺に何かを学ばせるため。幻想郷にやってきてだいぶ経つが、彼女から教わったことは一つ一つがとても大きなもので、俺の成長の糧となった。
紫は、俺を“変化”させてくれているのだ。
不思議と、そのことに心躍る感覚がある。子供みたいな知的好奇心にも近いものだ。
だから、戦う!
俺は変わらなくちゃいけないのだ!
今まで数々の困難を乗り切ったが、次も乗り切れる保証なんてどこにもない。万が一のことがあれば、この美しき世界、幻想郷を護ることができない。
幻想郷が踏みにじられることなどあってはならない!
「行くぞ、紫!」
「っ!」
変化「天と地のラストダンス」
一瞬にして、地盤が持ち上がった。
そして砕けた地盤が空中に静止した。無重力状態である。
「あら……」
さらにもう一つ。天と地の境界を弄り、上が地面で下が空になっている。
……ように見せかけている。
実際は、結界による錯覚である。
「ずいぶんと、楽しませてくれそうね。やっぱりあなたを連れてきて正解だったわ」
紫はそう言うと、スッスと扇子で何かをした。
……しかし。
「っ……!?」
「残念だったな」
さっきも言ったように、天と地がひっくり返っているのは結界による錯覚だ。しかしそれは副作用に過ぎない。本当の狙いは、紫の能力を封じること。境界をほいほい弄られては勝ち目はまずないのだ。
「まさか……さっきまで手ごたえがなかったのは、こっそり結界を張るためっ!?」
「いや、あれはほんとにやられてた。ただ、ただやられるだけじゃつまらないなと思ってね」
変化「小惑星帯の訪問者」
巨大な光弾を生み出し、紫に向かって放つ。
静止している砕けた地盤を小惑星帯とし、光弾を彗星と見立てて行う攻撃である。紫の能力を封じた結界は、いわゆる束縛結界。ついでに岩石の耐久力も縛ったため、そう易々と砕かれることはなくそれ
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