4.姉ちゃんはヒーロー
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たいなもんなら別に気にしなくてもいいか〜」
ピッチャーさんはニヤニヤしながらそう言ったあと、比叡さんがいる方に向かって歩いて行き、比叡さんに何か話しかけていた。いつもどおりといえばいつもどおりだけど、比叡さんもそんなピッチャーさんと満面の笑みで会話を楽しんでいるように見える。
ちくしょう。なぜか分からないけど、すごくムカムカする。比叡さんは誰とでも笑顔で話す人だけど、ピッチャーさんと笑顔で話す比叡さんを見てるとめちゃくちゃムカムカする。気がついた時、僕は比叡さんたちの方に向かってズカズカと歩いて行き、比叡さんの手を取って、ピッチャーさん……いやいい加減さん付けするのやめよう……ピッチャー野郎の元から比叡さんを強引に連れだしてしまった。
「ひぇえ?」
「あ、コラ邪魔すんなよ!!」
「比叡さん帰るよ!!」
「ぇえ?もう帰っちゃうの?」
「帰るの!!」
「しょぼーん……」
「ちくしょう!! 邪魔すんなよ中房のくせに!!」
「比叡さんはもう家に帰るの!!」
「ひぇぇええ……それじゃあまた〜!」
ぁあクソッ! こんなことするつもりなんてなかったのにッ! アイツが比叡さんと話してるってだけでなんだかムカムカするッ!!
比叡さんを送らなければならないという口実で楽器の片付けを秦野に任せ、僕と比叡さんは、そのまま家路についた。
「めんどくさいですけど分かりました。でも今度キャラメルおごって下さい」
キャラメル如きで比叡さんをピッチャー野郎から引き剥がせるならいくらでもおごってやろう。後を頼むぞ秦野。
僕と比叡さんは二人で家路につく。無言で歩いている間、ぼくはずっと前を見て歩いていたが、比叡さんがこっちの様子をキョロキョロ探っているのがよく分かる。
「シュウくん……怒ってる?」
「怒ってないッ!!」
我ながら意味がわからなかった。なんでこんなにムカムカするんだろう。しかも比叡さんに八つ当たりなんかして最低だ……。
「比叡さん。あのピッチャーとどんな話してたの?」
「ん? ピッチャー? ……ぁああのさっきの?」
「うん」
「えーと、よかったら今度一緒に食事でもどうですかーって」
やっぱり……うん。むりくり比叡さんを連れだして正解だったな。うん。
「でもさ。急に帰るってどうしたの? おかげであの人とちゃんと話出来なかったよ」
なんだとッ?! 実は比叡さんはアイツのことを悪く思ってなかっただとッ?!
「いや、断ろうって思ってたけど」
ザマーみろ! 比叡さんはやらんっ!! ……あ、これひょっとしてヤキモチかも?
「いや、だって私、毎日お母様のご飯食べたいし」
ナイスだ! ナイスだ母さん!! ここにきて比叡さんの胃袋をガッチリ掴んだ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ