第四章
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「また失恋だってな」
「それもすぐに」
「告白しても振られる」
「嫌なことですね」
次の想い人に告白してもというのだ、話のやり取りと占いの流れでそれでそう出たのである。最後に恋人の逆がだ。
「そうなります?」
「今度こそな」
苦りに苦りきった顔でだ、自由は言った。
「そうなって欲しいな」
「全くですね」
「本当にな、いい結果ならな」
「外れて欲しくなくて」
「悪い結果ならな」
「外れて欲しい」
「それが本音だよ」
まさにという言葉だった。
「俺にしてもな」
「僕もですよ」
「外れてくれよ、あの娘見たらな」
その彼氏が浮気をして別れて泣いている女の子がだ、まだ二十かその辺りの年齢の可愛い娘だった。
「凄く悲しそうで落ち込んでいて」
「それでも何とかでしたね」
「前向きになろうとしてるからな」
「だから新しい恋も見付けようとしていて」
「必死なんだよ」
「そこでその恋が失敗すると」
「短い間に続くとな」
それこそというのだ、自由は仕事柄人の恋愛模様も見てきたのでそれで雄馬にもこう言ったのである。
「まずいぞ」
「立ち直れなくなりますね」
「最悪な」
「ですか」
「ああ、そうなる場合もあるからな」
自殺という言葉はだ、自由は言わず雄馬も問わなかった。言葉として出せばそれが現実になってしまう様に思えたからだ。
「だからな」
「今回ばかりは」
「あの娘もカード見て愕然となってたな」
「告白しますかね、それでも」
「しないとな」
「それこそですか」
「あの娘もな」
失恋したばかりでも何とか前を向こうと意識している、言うならば強がっている様な状況であるからだ。
「そうしないとな」
「崩れちゃいますか」
「そうなりかねないのが自分でもわかってる」
「だからですか」
「告白するな」
「そうしますか」
「そうした感じだったよ」
その娘はというのだ。
「新しい鯉を実現させて前の恋を忘れる」
「そうしたいから」
「だから何とか相手を見付けてな」
「その相手の人にですね」
「告白してな」
「その恋をですね」
「実現させたいんだよ」
そうした状況だというのだ。
「刹那的で随分荒っぽいとも思うけれどな」
「そうしないとなんですね」
「今のあの娘は駄目だな」
「だからですね」
「今回ばかりはな」
溜息さえ出してだ、自由は言った。
「外れて欲しいな」
「あの娘の為にも」
「本当にそう思うよ」
心からの言葉だった。
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