圏内事件 ー捜査ー
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シュミットさんが大手ギルドの、しかもリーダー格って知った時きっと凄く頑張ったんだなぁって思ったんです」
そう言い、微笑むがその笑顔は無理しているように見える。
明かされたシュミットの意外な経歴によりなんとも気まずい雰囲気の中、キリトが切り出す。
「ヨルコさん、話しにくいことだと思うんだけど……本当の事を話してほしいんだ。事件解決のために。俺たちは今回の件は、『復讐』あるいは、『制裁』だと考えている。カインズさんがギルドや他のプレイヤーに恨まれていて、その報復を受けたんじゃないか……。昨日と同じ事を言うようだけど、もう一度よく考えてくれないか?」
もちろん返事はすぐには返って来なかった。それもそうだろう。そうやすやすと人が恨まれていた事を言えるとは思わない。ましてや、親しい人物の死を目の前で見てしまったのだ、言いにくいに決まっている。
長い沈黙の後、ヨルコさんは震える手でカップを持ち上げ、唇を湿らせてからこくりと頷き、語られたーー
「実は……昨日、おはなしていなかった事が、あるんです。ほんとは、忘れたい……思い出したくもない事だし……無関係だと、思いたかったんです。
ーーーでも、お話します。私たちのギルドが解散した、《出来事》を」
ーーー昔、起こってしまった不運な出来事を。
ヨルコさん曰く、彼女らが所属していたギルドは《黄金林檎》と言う総勢8人のその日に必要なお金を集めために安全な狩りをしていたギルドだったらしい。
だが、ある秋の日。偶然にもレアモンスターを発見し、運良く屠る事が出来たらしい。そして、そのモンスターから得られた指輪は「装備主の敏捷値を二十上昇させる」という過去類を見ないほどの強力な効果を備えたものだった。
そしてそんな強力なレアアイテムを手に入れてしまった《黄金林檎》では指輪の処遇を決めるための話し合いが行われた。当然、意見は一つに纏まらず、「ギルドで使おう」と言う意見が三人、「売って儲けを分配しよう」と言う意見が五人。
多数決の結果、指輪は売却に決まり、ギルドリーダーが上層に持って行き、競売屋に委託事になった。
下調べにも時間がかかるため、上で一泊する予定でホームを発ったリーダーだったが……いつまで経っても帰ってくる事はなかった。
嫌な予感がし、ギルドの何人かが生命の碑に行き、確認すればリーダーの名前には横線が引かれ、死亡時刻はリーダーが上層へと発った日の夜。死因は『貫通属性ダメージ』。
「……そんなレアアイテムを持って中層のプレイヤーが圏外に出るわけはない、よな。じゃあ、考えられるのは『睡眠PK』か……」
「えぇ、その頃は『睡眠PK』の手口が広まる前だったし、宿代の節約のために施錠の出来ない公共施設で休む人もたくさんいた頃ね」
「けど、偶然とは考えにく
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