暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 神速の人狼
圏内事件 ー捜査ー
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午前九時半ちょうど。約束時間からきっかり三十分遅れで待ち合わせ場所の57層の転移門広場についたユーリは「なんだあれ……」と呆れ気味に呟いた。

ユーリの視界の先には、 男性 (キリト)の手を両手で包み込むようにして握る 女性 (アスナ)と、ぎこちない表情を浮かべる 男性 (キリト)。形だけ見れば公衆の面前で、イチャつく馬鹿ップルの構図がそこにあった。それと同時に周囲を行き交うプレイヤー達(特に男性)からはブツブツと呪詛めいた呟きが聞こえてくるので精神的によろしくない。


『い、いつの間に……『ブラッキー』とアスナ様にフラグが??』
『リア充乙』
『キリト氏スべし、慈悲はない』
『爆発しろや……??』

世論は男女の二人組みには冷たいらしい。

はは、ハグでもしたらマジでPKでも起こるかも……などと碌でもないことを考え、そして今から自分もあそこに加わらねばならないと思うとなぜか下腹部がキリキリと痛む……ような気がする。もっとも仮想世界なのでそんなものなどあるわけないのだが、何故だろうか。

「お、ユーリ来たか!」

「……あぁ」

キリトが俺の存在にようやく気づき、声をかけてくると一緒に視線がこちらへと集中してくる。特に頭のミミとか、腰の辺の尻尾とか……。煩わしいこと限りないが、あいにく街中でフードまで被れば通報待ったなしのため、耳とか尻尾とかを隠せる事はできない。

「あー、ようやく来たわよ!」

「はぁ……」

続けて若干不機嫌なアスナから厳しめな視線が飛んでくる。合流するや否や周りの視線を忘れるため、本題を切り出す。

「で、生命の碑の方はどうだった?」

「あぁ。やっぱり同じ時刻に亡くなっていた」

「そうか……」

昨日起こった圏内プレイヤー() 殺人 ()事件の第一発見者であるヨルコさんから被害者である男性プレイヤー、カインズ氏の綴りを教えてもらい、自分と別れた後、黒鉄宮にある生命の碑に確認しに行ったらしい。
生存者リストでもあるそれは《ソードアート・オンライン》のサービス開始からデスゲームと化すまでの間にログインした約一万人のプレイヤー名が刻まれている。そして、カインズ氏の名前には無感情に横線が引かれ、死亡原因《貫通継続ダメージ》と刻まれていた、との事。


改めて人の死を確認させられ、しんみりとなった雰囲気の中、キリトがこちらへと視線を向けてくる。

「そういえば、昨日馬上槍部主将が来たんだって?」

「ハ?」

「ホラ、シュミットさんの事をそんな風に思うの君だけだって」

口を開いたと思えば、訳のわからない事を……

アスナに一蹴されたキリトはそ、そうかな?などと口ごもりつつ頬を掻く。早々とキリトの話題が終わり雰囲気が気ま
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