第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「この国、いえこの辺りの」
「そう、ここはインカだったからね」
「その音楽が残ってるの」
「国はなくなったけれどね」
それでもだというのだ。
「音楽は幾分かでも残ってるみたい」
「インカ帝国の」
「私はそう思うけれどね」
「それでこうした音楽なのね」
「どう、感じる?」
微笑んでだ、ルチアーナはファナに尋ねた。
「そうしたのを」
「インカ帝国を」
「そう、どうなの?」
「そう言われても」
首を傾げさせてだ、ファナはルチアーナのその問いに答えた。
「私はね」
「ああ、アルゼンチン人っていうのね」
「そうよ、それはルチアーナもでしょ」
「まあね」
その通りだとだ、ルチアーナも答えた。
「私もアルゼンチン人だから」
「インカ帝国って言われても」
「アルゼンチンはね」
インカ帝国の領土ではなかった、それでというのだ。
「同じ中南米でもね」
「また違うでしょ」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「インカ帝国っていっても」
「ぴんとくるものがない」
「言葉は通じても」
同じスペイン語だ、だからやりとりは普通に出来るのだ。
しかしだ、それでもなのだ。
「やっぱり違う国でね」
「違う文化の中にいるわね」
「そのことをね」
「実感するわね」
この村でもというのだ、そしてだ。
その祭りの中にいてだ、二人は同じスペイン語を喋る中でも違うものを感じていた。それでその中でだった。
その音楽も料理も楽しんでだ、ファナはワインも飲んで言った。
「こういうのがインカかしら」
「インカ帝国ね」
「その末裔っていうか」
「名残?」
「そういうのがこの村には残ってる」
「そうなのかしら」
「そうなんですよ」
二人にだ、ガイドが言って来た。
「ここはそうしたお祭りをする村なんです」
「そうなんですか」
「だからツアーの中に入って」
「それで、ですね」
「私達にも」
「楽しんでもらいたいです」
この祭りをというのだ。
「是非、音楽にしてもお料理にしても」
「どれもですね」
「楽しんで欲しいんですね」
「そうです、それに」
「それに?」
「それにっていいますと」
「見えるかも知れないですよ」
ガイドも料理と酒を楽しみつつ話した。
「このお祭りの最後に」
「このお祭りの最後にですか」
「その時にですか」
「私達はですか」
「何か見られるんですか」
「はい、私はこのお祭りに何度か参加していますが」
仕事でだ、それで来ているというのだ。
「今回はかなりいい感じなので」
「だからですか」
「私達は何かをですか」
「見られるんですか」
「その何かを」
「いや、私もまだ一回しか見ていないですけれどね」
村のワインをごくごく
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ