4部分:第四章
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第四章
「神の如き虎だと」
「そしてその虎をだ」
「撃たれますね」
「そうする。だからここまで来ている」
彼は言った。静かだが強い声でだ。
「そうする」
「わかりました。じゃあ今回もですね」
「一撃で決める。必ずな」
ライフルは背負っている。ただ腰には拳銃もある。いざという時にはそれで身を守る為だ。それはガイドも同じだ。ナイフも持ってだ。
そのうえでだ。遂にジャングルの最も深い場所に入った。
森はさらに深い。木々が鬱蒼と茂りだ。
そしてそのうえでだ。気配が感じられなかった。
マドールはその中を見回しながらだ。ガイドに尋ねた。
「ここか」
「はい、ここです」
「ここにその虎がいるのか」
「そうです。ただ何処にいるのかはです」
「それははっきりとしないか」
「はい、注意して下さい」
ガイドもだ。警戒しながら周囲を見回している。何しろジャングルである。何時何処から何が襲い掛かってくるかわからない。そうした場所だからだ。
警戒しながらだ。また言う彼だった。
「白い虎だけとは限りませんからね」
「他の獣もだな」
「豹も蛇もいますしね」
「警戒しないとな」
「はい、死なないで下さいね」
「そうだな。本当にな」
マドールも真剣な顔で述べる。そうした中でだ。
二人は虎を探した。そこでまた言うガイドだった。
「虎はですね」
「水が好きだな」
「ええ。特に池が」
「この中に池はあるか」
「はい、あります」
そのものずばりだった。あるというのだ。
「ここから少しいった場所に」
「ではそこで張り込むか」
「そうしますね」
「それが一番いいな。ではその池にな」
「案内しますね」
「頼むな」
彼等はその池に向かった。池はジャングルの中にあった。緑色で底が全く見えない。そうした池がだ。ジャングルの中にぽつんとあったのだ。
マドールは木の陰に隠れながらその池を見てだ。共にいるガイドに対して話した。
「あそこに虎が来れば」
「その時にですね」
「撃つ」
一言だった。
「必ず仕留める」
「白虎ですからすぐにわかりますしね」
白虎は普通の虎よりもまだ目立つ。そのことも話が為される。
「それでですね」
「そうだ。だが」
「だが?」
「白い虎か」
それについてだ。彼は話すのだた。
「実際にこの目で見るのははじめてだな」
「そうなんですか」
「珍しいからな。白い虎というのは」
「言われてみればそうですね」
その通りだとだ。ガイドも頷く。
「アルビノでしたっけ。それって」
「欧州の言葉ではそうなるな」
「そうですね。それですね」
「珍しいな、確かに」
マドールはまた言った。
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