第六章
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「値段も手頃で」
「そこまでチェックしたんだな」
「はい、イタリア好きですし」
それにとだ、私はさらに言った。
「仕事の勉強の為にも」
「イタリア料理担当だからか」
「行ってきました」
「そうだったんだな」
「壁に飾ってある絵もよかったです」
「あのマリア様か、あの絵何だ?」
「大公の聖母です」
私はその絵のことはすぐに答えた。
「ラファエロの。あとエルグレコの受胎告知もありますね」
「流石に詳しいな」
「それが仕事ですから」
「じゃあルネサンスは何なんだ?」
「生きがいです」
私はにこりと笑って先輩に答えた。
「私にとっては」
「そっちはそうなんだな」
「はい、まさに生きがいで」
「これからも行って見て来るんだな」
「日本に来ても」
その作品がだ。
「行って来ます」
「そうか、イタ子は芸術家か」
「単なる芸術好きかも知れないですけれど」
「それでも好きなことは好きなんだな」
「はい、これからもずっと」
はっきりと答えてだ、私はその仇名も受け入れた。そうして働いてお金を貯めてまたイタリアに行くことを考えていた。ルネサンスはまさに私にとっての生きがいになっていた。見て楽しむそれに。
その私にまた先輩が行って来た、今度言う言葉は。
「イタリアに転勤するとしたらどうする?」
「答え聞きたいですか?」
「一つしかないよな」
「一も二もなくです」
「そうか、じゃあその話課長に話しておくな」
「まさか」
「ああ、行って来いよ」
そのイタリア転勤についてだ、先輩は私ににこりとして話した。
「二年位らしいな」
「二年ですか」
「ルネサンス心ゆくまで楽しんでこいよ」
「そのお話本当ですよね」
「だから言ったんだよ、それじゃあな」
「はい、行って来ます」
私は先輩の言葉に笑顔で頷いてイタリアに転勤した、まさか二年もルネサンスの作品を現地で楽しめるとは思ってもいなかったから最高だった、実際に私はイタリアにいた二年の間時間さえあればルネサンス期のことを調べて芸術作品を見て回った。
そして日本に帰ってからもその時に見たものを皆に話した、それからも何かあればイタリアにもフランスにも行って。
ルネサンスを楽しみ続けた、それは結婚してからも同じで夫にも休みでお金がある時にはいつもこう言った。
「また行きましょう」
「またイタリアか?」
「ええ、子供達も一緒にね」
「本当にイタリア好きなんだな」
夫は私にやれやれといった顔で返した。
「というかルネサンスがか」
「ええ、好きで仕方ないわ」
「じゃあまた本場のパスタ食いに行くか」
「パスタもいいけれどね」
「ルネサンスだな」
「見に行きましょう」
こう笑顔で話してだった、結婚してからもイタリア何よりもル
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