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ルネサンス
第五章
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「それでもなんですね」
「ルネサンスな、俺そっち興味ないから」
「ルネサンスがいいんじゃないですか」
「イタ子はそっちが好きなんだな」
「ルネサンス最高ですよ」
「じゃあ学者か旅行会社になっていつも行けたらよかったのにな」
「学者なんてとてもなれないですし」
 そこまで学問が出来ていないからだ、通っている大学でも相当な人が大学院に入ってこつこつとえ研究をしている。
「旅行会社は全部落ちました」
「そうか、それでか」
「ここにいるんですよ」
「それは仕方ないな、けれどな」
「けれど?」
「旅行でいつも行ってるんならな」
 先輩はこれまでのからかう様な笑顔からいささか神妙な顔で述べた。
「それでいいだろ」
「ルネサンスについても」
「そうだろ、それに旅行会社に入ってもいつもイタリアやフランスには行けないだろ」
 ルネサンスの芸術作品があるその国にだ。
「うちには部門ないけれどイギリス料理の国にもな」
「そんな部門ある会社あるんですか?」
「紅茶位はあるだろ」
「それはお茶ですから」
 正直イギリス料理部門がある会社とか聞いたことがない、イタリアやフランスはあるけれど。
「お料理じゃないです」
「それはそうだけれどな、とにかくな」
「いつも旅行でイタリアに行けるからですか」
「金と時間がある時にな」
「それはそうですけれど」
「それに学者の世界は汚いからな」 
 先輩はここでこんなことも言った。
「何だかんだで学校の先生なんだからな」
「学校の先生の世界はですか」
「俺の親戚に学校の先生いていつも言ってるんだよ」
「汚い世界ですか」
「職員の組合ってのが酷くてな」
「うちの会社の組合よりも」
「ああ、あんなものじゃないらしいぜ」
 それこそというのだ。
「というかうちの組合は健全だろ」
「はい、おかしなこと言いませんし」
「学校の先生の組合は北朝鮮とか過激派と仲がいいらしいからな」
「過激派に北朝鮮って」
「だからやばいんだよ」
「テロとかしません?」
「色々おかしいからな」
 このこともだ、先輩は私に眉を顰めさせて話した。
「だからな」
「それで、ですか」
「大学の先生の世界もな」
「酷いんですか」
「みたいだな、だからな」
「今の方が、ですか」
「いいかもな」
 こう私に話してくれた。
「人間何がいいか悪いかなんてわからないけれどな」
「それで私もですか」
「今の方がいいかもな」
「イタ子で」
「別にそう呼んでもいいだろ」
 ここで先輩はからかう様な笑顔に戻って私に言って来た。
「それでも」
「まあ別に」
「じゃあイタ子な、今度美味いイタリア料理の店が出来たからな」
「ああ、フェニーチェですね」
「何だよ、もう行って来たのかよ」

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