第一章
[2]次話
ルネサンス
文芸復興、日本語ではそうなる。
ルネサンスについては私も知っているつもり、中学校の授業で習って。
それでだ、私も大学で西洋史を専攻に決めてから友達に言った。
「ルネサンスを専攻するわ」
「あっ、イタリアの」
「あんたそれを専攻するのね」
「それはまたえらくお洒落ね」
「芸術家になるの?」
「芸術家にはならないわ」
私はその問いには笑って否定した。
「けれどね」
「それでもなのね」
「ルネサンスについて勉強するのね」
「これからは」
「それで論文もなのね」
「そっちを書くつもりよ。ダ=ヴィンチとかね」
ルネサンスを代表する芸術家だ、とにかく色々なことに才能を発揮した万能の天才とさえ言われている人だ。
「ミケランジェロ」
「ダビデ象ね」
「あとラファエロ」
そのルネサンスの芸術家達を次々と出していった。
「そういう人達をね」
「勉強したいのね」
「それで論文も書いて」
「将来は歴史学者?」
「そうなりたいとか」
「ああ、学者さんよりもね」
それよりもだった、私の願いは。
「イタリア語も勉強してるし」
「ツアーコンダクター?」
「イタリアの」
「そっちになりたいの」
「学者さんにはそうそうなれないわよ」
この現実をわかっていてだ、私は皆に言った。皆で自分の部屋で楽しくパジャマパーティーをしつつの言葉だ。テーブルの上にはワインとパスタ、ピザがある。そのイタリアの。
「だからね」
「ツアーコンダクターになって」
「お仕事でイタリアに何度も行くのね」
「そうしたいのね」
「そうよ」
私は皆ににこりと笑って話した。
「そう思ってるわ」
「ううん、イタリアね」
「確かにいい国よね」
「イメージとして悪くないわね」
「明るい国よね」
「ええ、まあ戦争は弱いし」
私はイタリアのこのことも知っていて言った。
「マフィアとかがいてね」
「シチリアの方よね」
「まだ一杯いてね」
「それでシチリアを仕切ってて」
「南イタリア全体がそうらしいわね」
「南イタリアの方はカモラなのよ」
マフィアではなくだ。
「まあどっちもイタリアのヤクザ屋さんね」
「イタリアじゃ日本よりもヤクザ屋さんが怖いのね」
「力も強くて」
「だからそのこともね」
「頭に入れておかないと駄目よね」
「そうだけれどね」
それでもだ、私にとってイタリアは。
「ルネサンスの国だから」
「何度も行きたい」
「そして勉強したいのね」
「そうなの」
「ええ、まだ一度も行っていないけれど」
それでもだ。
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