第三章
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そうした話をしつつだった、私は。
準一にだ、こうも言った。
「それならね」
「この夜空もだね」
「いいかしら」
こう彼に言った。
「というかずっと瑠璃色に見えたらいいのに」
「そうだね、心持ちがいいままならね」
「それに越したことはないから」
「全くだね」
「そう思うわ」
こう話してだ、彼の右手を抱き寄せてあらためて言った。
「じゃあ今から」
「何処に行くのかな」
「バーに行こう」
「定番のだね」
「やっぱり夜の街に入ったら」
「飲まないとね」
「それも今日はね」
今日の瑠璃色の空が見える気分ならだった。
「お洒落に飲みたいから」
「だからバーだね」
「そこに行きましょう」
「それじゃあね」
彼も私の言葉に笑顔で頷いてくれて。
そうして一緒にバーに入って飲んだ、洒落たお店の雰囲気を少しキザな感じで飲んでそれからだった。
お店を出た時にまた夜空を見上げた、その夜空も。
「今もね」
「瑠璃色だね」
「何か見ていたら」
酔っているせいかこんなことを言ってしまった。
「あのお空の中に入りたくなったわ」
「ちょっとそれは浮かれ過ぎじゃないかな」
「うふふ、そうかしら」
楽しく笑ってだ、彼に返した。
「幾ら何でも」
「久し振りのデートでバーでも楽しめて」
「そのせいかしらね」
「気持ちがなんだ」
「少しね」
こう彼に話した。
「浮ついてるから」
「夜空に入りたいんだ」
「こう言うと子供みたいね」
「そうだね、確かにね」
「瑠璃色の夜空っていうだけなら」
それだけならだった。
「大人の詩だけれど」
「これが入りたいってなると」
「ファンタジーだよね」
「ピーターパン?」
私は不意にこの童話を思い出した。
「ああした感じかしら」
「ああ、ピーターパンだね」
「あの童話も夜空に飛ぶから」
「そうだね、けれど僕達はね」
「ピーターパンって歳じゃないわね」
「もうね、けれどピーターパンを観ることは出来るよ」
彼は私にこうも話してくれた。
「これからね」
「ああ、アニメの」
「借りようか、今度」
「そうね、こうしたデートもいいけれど」
「一緒にそうしたアニメを観るのもね」
「いいわね」
「今度の日曜僕の家に来てよ」
彼から私に誘いをかけてきた。
「そしてね」
「ピーターパンをね」
「観よう、瑠璃色の空に入ろう」
「じゃあ次は」
「うん、僕の家でね」
楽しもうとだ、私達は約束してだった。
この夜は二人で瑠璃色の空を見ながら夜のデートを楽しんだ。心が上ずっている時にだけ見られるその不思議な美しさを持っている夜空を。
瑠璃色の空へ 完
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