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瑠璃色の夜へ
第二章

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「街を歩きましょう」
「夜の街をだね」
「夜の街を見るのも楽しいわ」
 私は夜のデートからこうしたことも楽しむ様になっていた、夜のネオンや待を行き交う様々な人達を見ても楽しいと気付いたのだ。
「だからね」
「まずは夜の待を歩いて」
「それで行こう」
 こう話してだ、そのうえでだった。
 二人でだった、私達は。
 夜の街をデートした、その中で。
 私歯不意に夜空を見上げた、そしてくすりと笑ってこんなことを言った。
「黒い筈なのに」
「黒なのに?」
「何か黒くは見えないわ」
 その夜空を見ながらの言葉だ。
「黒よりも紫かしら」
「ああ、時々夜空ってね」
「紫に見えるわね」
「そういえば今日の夜空は」
 準一もだ、その私が見上げている夜空を見上げて言った。
「ちょっと普段と違っていて」
「黒くないわよね」
「紫に近い、いや」
「いや?」
「瑠璃色から」
 その色だというのだ。
「その色に見えるよ」
「紫じゃなくて」
「それよりももっと淡い」
「そう言われれば」
 私は準一の言葉を受けてあらためて夜空を見詰めた、すると確かにだった。
 空は瑠璃色だった、濃い瑠璃色で。
 何か何処までも澄んでいる感じだった、まるでこの世にないみたいな。
 夜の街の間から見えるその夜空を見上げながら、私は同じ夜空を見上げている彼にこう問うた。
「何でかしらね」
「今日の夜空はだね」
「瑠璃色なのかしら」
「ううん、それはよくわからないけれど」
 それでもとだ、私に答えてくれた。
「これはね」
「これは?」
「気持ちの問題かな」
「私達の」
「そう、久しぶりじゃない」
 デート、これがというのだ。
「お互いにね、だから僕も嬉しいし」
「私もだから」
「気分がそうだから」
「今日の夜空はなのね」
「瑠璃色に見えるんじゃないかな」
 これが準一の予想だった。
「そうじゃないかな」
「それでなの」
「よく説明出来ないけれど」
 それでもというのだ。
「そうしたことじゃないかな」
「気分が上向いていたら」
「同じものを見てもね」
「奇麗に見えるのね」
「それで普段は黒いだけの夜空も」
「紫に見えたり瑠璃色に見えたりするのね」
「そうじゃないかな」
 私にう夜空を見上げたまま話してくれた。
「だから気落ちしている時とかは」
「黒いままで」
「そう見えると思うよ」
「黒い夜空ね、普通だけれど」
 夜空といえば黒だ、普通はそう見えるから。むしろ今のこの瑠璃色に見える夜空の方が余計にだろうか。
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