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瑠璃色の夜へ
第一章

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                        瑠璃色の夜へ
 高校生の頃はとてもだった。夜のデートなんて考えつかなかった。けれど大学を出て就職した今はというと。
「今日もなの」
「ええ、もっと言えば今夜もね」
 仕事が終わって更衣室で着替える時にだ、私は仕事仲間の皐月に言った。
「デートよ」
「彼氏と」
「そうなの、今夜もね」
「夜にデートするのね」
「だって。お昼は仕事だし」
 それにとだ、私は自分のロッカーの前で着替えつつ話した。
「それに夜にデートのが好きになったのよ」
「何時から?」
「就職してからよ」
 まさにその時からだとだ、私は皐月に話した。
「つまり大人になってからね」
「大人のデートって訳ね」
「そうなの、大人の雰囲気を楽しんでるの」
 そうだとだ、私はだ。
 微笑んでだ、皐月にこうも言った。
「夜のデートってそうでしょ」
「ううん、まあ私もね」
 ここでだ、皐月も自分のロッカーの前でにこりと笑って私にこう答えた。
「彼氏とのデートはね」
「夜でしょ」
「休日のデートはお昼だけれど」
「それでもこうした平日はね」
「夜にするわ」
 仕事が終わったこれからだ。
「私にしても」
「そうでしょ、それで自然とね」
「夜のデートが好きになっていくのね」
「そういうことよ、だから今もね」 
 私服、ラフなそれに着替えつつ私は言っていった。
「楽しみよ」
「これからのデートが」
「行って来るわね」
「それじゃあね」
 二人でこうしたことを話してからだった、私は会社を出てそれから彼氏との待ち合わせ場所に行った。彼氏の準一は夜の街角にスーツで立っていた。
 その彼にだ、私は笑顔で尋ねた。
「待った?」
「ここで今来たところっていうのが礼儀だよな」
 準一は笑ってこう私に返した。
「けれどな」
「違うのね」
「三分前にだよ」
「来てたのね」
「その三分の間はこれだったよ」
 スマートフォンを出してだ、私に言って来た。
「これでゲームしてたよ」
「それで待ってたの」
「そうだよ、だからその三分の間も」
「特になのね」
「気にしてなかったよ」
「そうなのね」
「まあ美香ちゃんもな」
 準一は私の名前を呼んで話して来た。
「待ち合わせ時間の二分前に来たな」
「まあ何ていうかね」
「早く来たかった」
「結構うきうきしてたから」
 デートをしたいからだ、最近お互いの仕事が忙しくて中々その時間が取れなかったからそれでだ。
「だからね」
「早く来たんだね」
「そうなの、けれど早いなら早いでいいね」
「そうね、それじゃあ今から」
「何処に行くのかな、それで」
「そうね、バーに行く前に」
 夜の街の楽しみの一つだ、その前にだ。
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