プロローグ
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________イタリア
「ひっ、ひぃぃぃっ!!」
ドサッと音がして、ある一人の男が悲鳴を上げ尻餅を付く。
男の瞳は恐怖一色に染め上げられており、視線は目の前の少女へと注がれていた。
「ど…、どうか……命だけは……」
「え、何それ、命乞い?笑えるんだけど。
『ちょっくら俺と遊ぼうぜ?』って声を掛けてきたのはどっちだったっけな〜」
その少女は男の言葉を舌足らずな調子で嘲る様に笑い、憐れむ様な視線を男へ向けた。
少女と男の視線が絡み合い、黒い塊と化して夜闇へ消える。
「オ……オレは何にも知らない……
お前の家の事何か知らないぞ……!?」
「ふぅん、そう。
私の家系については一切無関係、か」
そんな気怠そうな少女の呟きに、男はほっと安堵の表情が浮かび頬が緩む。
男はあの肉塊とした原型を留めぬ人間だったモノをちらりと一瞥し、
助かる。
そう男が思った瞬間だった。
「んじゃ、用済みってことでおじさん。さようなら」
ちらりと姿を現した希望を少女はあっさりと打ち砕いた。
男の顔は瞬く間に絶望色に染まり、動揺したのか額に大粒の汗を浮かべた。
「あ、もしかして生きれると思った?
あは、ざーんねん。私、会ってすぐ馴れ馴れしくする奴嫌いなの」
「ぁ…あ"ぁ"……!?」
恐怖と絶望で包まれた表情を見て、少女は心地良さそうな表情を浮かべる。
その光が灯っているのか判別出来ない瞳には、狂気の様なものを秘めていた。
「というワケで。_____永遠にさようなら」
血の滴り落ちる短刀を少女は握り直すと、男の顔めがけて突き刺した。
「あ"ぁ……う"」
少し呻き声を上げると、やがて痙攣を起こし動かなくなる。
その冷えきった人体を目にし、少女は恍惚とした表情を浮かべくるりと踵を返す。
「無駄な殺し……またしちゃった」
返り血一つ付いていない服を夜風になびかせ、ぽつりと言った呟きは夜空に吸い込まれていった。
◇ ◇ ◇ ◇
主視点
「リボーンか……またオヤジに呼び出されたんだってな」
「人気者はつれーなー、今度はベネチアか?」
とあるバー。
私は一人グラスに注がれた水をのんびり飲んでいると、そんな会話が聞こえた。
椅子ごと回転させてふり返るとオッサン二人とリボーンと呼ばれた赤ん坊がいる。
オッサン二人は煙草を吸っていた。
ここ一応未成年いるぞ。主に私。
「日本((ジャッポーネ))だ」
「!!」
「何!!」
「あのオヤジとうとうハラ決めやがったのか!!」
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