2.姉ちゃんはよく食べた
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に運ぶ。その凄まじい勢いに押され、僕と母さんはボー然と比叡さんを見るしか出来なかった。
「ゴフッ!! ゲフンッ!! グフッグホッ?!」
あまりに勢いよく食べていたせいか、ご飯つぶが気管に入ったらしい、比叡さんは真っ赤な顔をしてむせ始めた。
「慌てて食べるから……おかわりいっぱいあるから大丈夫よ?」
「あ、ありがゲフンッございまゴフッゴフッ……」
「はいお茶」
「シュウくんありがゲフンッ……ごぎゅっごぎゅっごぎゅっ」
「落ち着きました?」
「うん! シュウくんありがとう!」
比叡さんはそういい、満面の笑みを僕に向けた。本とかでよく見る“お日様のような笑顔”ってきっとこういう顔なんだろうなぁと、僕は冷静に思った。ホントに。
タイミングよく玄関のドアが開く音が聞こえ、『ただい……うおなんだこのデカい靴?!』という声が聞こえた。父さんが帰ってきたようだ。比叡さんが履いてた大きな靴(彼女は主機と呼んでいた)を見てびっくりしたようだ。ほどなくして、背広を着た父さんが食堂にやってきた。
「おかえり父さん」
「おうただいま。こちらのお嬢さんが?」
「そう。さっき電話で話した……」
「お父様はじめまして! 巡洋戦艦の比叡です!!」
「あれ……気のせいか……後ろに万国旗と戦艦が……」
父さんのそのセリフを聞いて、親子の血の繋がりの強さに感心しつつ、僕は父さんに事の次第を説明した。父さんはひと通り僕の説明を聞いた後、一度自分の部屋で室内着に着替えてから僕達と共に夕食のハンバーグに舌鼓を打ち始めた。
「ふーん……ここがどこだか分からないし、気がついたら神社にいたのか……」
「そうなんです……」
父さんの質問……というか現状の確認に、比叡さんは心なしか少し元気なくそう答えた。ただし、口の中一杯にハンバーグをほおばり、『もっきゅもっきゅ』という擬音が聞こえてきそうな咀嚼をしながらだ。あと理由はわからないが、パンパンに膨れた比叡さんのほっぺたは、なぜか突っつきたくなる。抑えろ。人差し指でぷにぷにしたくなるこの衝動を抑えるのだ……。
「神社にいる前のことは覚えてる?」
「確かレ級と戦ってて、もみくちゃになって海の中に沈んだとこまでは……もっきゅもっきゅ」
「比叡ちゃん? ハンバーグおかわりあるわよ?」
「あ、お願いします」
誰も突っ込まないから一応言っとくけど、比叡さんはこれでハンバーグ5つめだ。
「レキュウって何だ? 聞いたことないな……つーか戦ってたって……」
「一般の人は知らないのかなぁ……シンカイセイカンなんですけど……」
「シンカイ……?」
「父さん、その辺は僕らも何回も聞いた」
「あーそっか。何度も聞いてすまん比叡ちゃん」
「いえ! こちらこそ助けて頂いてますから!!
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