1.姉ちゃんは神社にいた
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不意に僕のスマホが鳴った。僕は彼女にちょっと待つように伝え、胸ポケットからスマホを出して画面を見た。どうやら母さんからの着信のようだ。
『ぁあシュウ? 今どのへんにいるの?』
「神社だよ」
『じゃあ、帰りにコンビニで牛乳買ってきて欲しいんだけど、お願いできる?』
「んん〜……ちょっと難しいかもしれない」
『なんで? お金ないの?』
ここで僕は、今不思議な格好をした、ちょっとおかしな女性と一緒にいることを説明した。話をするやいなや、母さんは『その人にちょっと代わって』と言い、僕はそれに従って、彼女にスマホを手渡した。
「あ、はい! はじめまして!」
しかし、声の大きい人だな。
「ええ。はい。そうなんです。私も状況がよく分からなくて……ここがどこかも分からないですし……」
彼女本人がわからないんだから、僕や母さんが分かるわけがないよね……。
「ぇえ?! そんなッ! 悪いですよッ!!」
ぁあ、母さんが何を言っているかなんとなく分かった。
「ひぇえ〜?!! それじゃ強制じゃないですかぁ〜!!」
前言撤回。何を話してるんだ母さん……
「はい……はい……分かりました」
そこまで話したあと、彼女はぼくに申し訳無さそうな顔をしながらスマホを返してきた。母さんのことだから、彼女に何を言ったのかは大体想像がつく。それにしても彼女は何を考えてるか分かりやすい。
「えーと、お母様です。電話を代わるように、と」
「はいありがとうございます。もしもし?」
『ぁあシュウ? 話は聞いたわよ。女の子を雨の中ほっとくのも悪いし』
「うん」
『関わった手前、警察に丸投げってのは母さんも気持ち悪いから』
「うん」
『うちに連れてきてくれる?』
あぁ、やっぱり。母さんは困ってる人を放っておけない性格だもんね……
『とりあえず牛乳はもういいからまっすぐ帰ってきてね。あと、その人におなかすいてるかどうか聞いてみて』
「すいてると思うよ。さっきお腹鳴ってたから」
彼女は僕のその言葉を聞いて再び顔を真っ赤にして両手をわちゃわちゃ降っていた。
『ひぇえ〜?!!』と悲鳴を上げていたけれど、とりあえず気にしないことにした。だってウソはついてない。現に彼女の腹の虫は今もリアルタイムで音が盛大になりつつある。
『分かった。じゃあ晩御飯いっぱい作って待ってるから。とりあえず連れて来てね』
「うん。分かった。あと10分ぐらいでうちに着くから」
『りょーかい。じゃあ母さんはお風呂の準備しとくわ』
僕は電話を切り、スマホを胸ポケットに入れて彼女に目をやった。彼女は相変わらず恥ずかしそうに両手をパタパタ振っていた。
「あのー……」
「は、はいッ!」
「とりあえず母さんに言われた
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