1.姉ちゃんは神社にいた
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た機械が取り付けられていた。それらの機械は少し壊れており、ところどころひび割れ、突き出た筒のような部分が折れ曲がっていた。
その様相が異様なら、着ている服もコスプレのような感じで異彩を放っていた。その服はところどころが少し破けてはいるが、神社という場所のせいもあって、巫女さんを彷彿とさせる作りをしていた。
身体に機械を取り付けた巫女さんのコスプレをしたその女性は、傘も差さず、ただぼんやりと空を見上げていた。
「あ、あの〜……」
その現実離れした光景に、僕の心は呑まれたんだと思う。気がついたら、ぼくは彼女に話しかけていた。彼女は僕に気がついて振り返り、目に見えて狼狽し始めた。よく見たら、ショートカットで金色のカチューシャをしていた。
「へ? わ、私ですか?」
「はい。何やってるんですか?」
「え……あ、はい……なんか私自身もよくわかんなくて……」
「? どういうこと?」
「えーと……確かレキュウともみくちゃになって海に沈んだとこまでは覚えてるんですけど……」
「ん? レキュウ?」
「そのあと、気がついたらここに立ってたんですよね」
今一彼女の返答が要領を得ない。レキュウって何だ? 海? 沈む? 確かにこの街は海沿いで港があるけど、どういうこと?
「えーと……なんかよく意味がわからないんですけど……」
「レキュウ、ご存じないですか? シンカイセイカンなんですけど……」
ダメだ。なんだかますます意味不明さに拍車がかかってきた。
「んーと……」
「えーと……ごめんなさい……私もなんだかよく状況が飲み込めなくて……」
彼女はそう言うと、目に見えてがっくりと肩を落とした。ここまで見事にわかりやすく意気消沈した人間の姿を、僕は今まで見たことがない。それほどまでに、彼女は見事にがっくりと落ち込んでいる。
「つ、つかぬことをお伺いしますけど、迷子なんですか?」
僕が彼女にそう質問した直後、ぐぅう〜という腹の音が鳴り響いた。これは僕ではない。確かにぼくも腹が減って入るが、鳴るほど空腹というわけではない。ということは……
「い、いやあのッ!! だってチンジュフで朝ごはん食べて出撃したあと何も食べてなくて!!」
やはり犯人は彼女のようだ。恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせて両手をぶんぶんさせながら、おたおたわちゃわちゃとしている。
彼女のそのわちゃわちゃしたリアクションがおかしくて、僕はついプッと吹いてしまった。と同時に、全身から緊張が抜けていくのがわかった。何のことはない。僕はこの日常からかけ離れたシチュエーションに、緊張して身体がこわばっていたのだ。今更ながらそれに気付いた。
「ぇえ〜ちょっとぉ! 笑わないで下さいよ〜!」
「ごめんなさい……つい……ブフッ」
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