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普通だった少年の憑依&転移転生物語
【ソードアート・オンライン】編
117 黒白剣舞(モノクロ・ダンス)
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い、≪アインクラッド解放軍≫の一団らしく、階級は中佐≠セそうで──名をコーバッツと名乗った、堅物≠絵に描いた様なプレイヤーだった。

「……良かったの、キリト君?」

「アスナさんの云う通りだぜ。……ありゃあ下手したらボスに…」

「……なんか俺も気になってきた。行こうっ」

「うんっ!」

「へへっ…そうこなくちゃな。……テメェらも行くぞ!」

「「「押忍!!」」」

アスナとクラインからの、コーバッツ達を(おもんぱか)る声に急激に心配になってきた俺は、アスナ達を引き連れてコーバッツ隊の元へ向かう事にした。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
クライン達を連れてボス部屋まで来てみれば、そこは正しく地獄絵図だった。

……俺の予想は悪い意味で当たっていた。

《ザ・グリーム・アイズ》──輝く眼≠ニ云うネーミングは伊達ではなく、ゆらり、と目が輝く度に振るわれる凶撃は1人──また1人と軍≠フ人間の命を無情に奪っていく。……一も二もなく撤退≠フ選択肢を選ばざるを得ない様な状況だった。

――「怯むな…っ! 全軍突撃ぃぃぃいっ!」

「馬鹿野郎っ!! とっとと転移結晶を使いやがれ!」

「ならんっ! 立て! 立ち上がるのだ!」

不退転≠フ指示を出すのはコーバッツ。クラインはそのコーバッツの指示に激昂して撤退するように提示するが、そんなクラインの厚意をコーバッツは踏みにじる。

(……今更出し惜しみも無し、か)

「アスナ、もう駄目だアレ≠使う」

「キリト君…。……うん判った」

コーバッツの態度にそう思い立った俺はソレ≠知っているアスナにそれだけ告げるとメニューを操作する。……アスナにはソレ≠ノついて前以て教えてあるので、軽く逡巡(しゅんじゅん)した様子を見せるが、命≠ノ代えられるものが無いのを知っているのか、ハッキリと頷いてくれた。

……そうこうしている内に、その輝く双眸は指示を出している人間に──コーバッツに向けられる。

(まだかまだかまだかまだかまだかまだか…っ!)

時間が惜しい。

ソレ≠ェちゃんと装備されたと判った刹那、俺の傍に何が飛来してきた。……コーバッツだった。ボスの凶腕でここまで飛ばされてきたらしい。

「……む、無念…っ!」

――パキィィン…

「……っ!!」

最早聞き馴れた小気味の良い音。コーバッツの辞世の句は、俺の心を焚き付ける。

「クライン達は軍≠フ連中を頼む…っ!」

「キリト、おめぇ…。……後でみっちりと聞かせて貰うからな!」

「アスナは…」

「私のHPバー(いのち)≠ヘ君のものだよ」

「行くぞっ!!」


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