Fate/stay night
番外編053話 凛の夢 9話
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「え? ちょっ、あれ? ここどこよ?」
凜がふと気が付いた時、自分がどこにいるのかが全く分からなかった。
いや、今いるのがアクセルの夢であるというのは理解していたし、感覚からも分かったのだが、今までの夢とは違って周囲が闇に包まれていた為だ。
「遠坂、あれ!」
いつものように自分の近くにいる綾子の声に、そちらの方へと視線を向ける。
するとそこには……
「ちょっと、何よあれ……」
凜の視線の先では、幾つもの人間が空を飛びながら戦っていた。
……いや、違う。周囲を良く見れば分かった。ここは地上ではないのだと。
更に、戦っているのは人間ではないのだと。
確かに戦っているのは人型の存在だ。
だが人間には角が生えていたりしないし、あんな風に金属質の肌はしていない。
一見するとカブトムシのような印象を受ける赤い機体と、同じような大きさの機体だが何か背負っているような装備を付けている機体の戦い。
更に、周囲には他にも大量の機体が存在しており、その何かを背負っているような機体と1対多での戦いとなっている。
「ねぇ、綾子。あの何かを背負っているのが圧倒的に不利に見えるのに、なんだか心配する必要もないように見えない?」
「……否定しない」
呆然とその光景を眺める2人。
何かを背負っている機体は、数の上では圧倒的に不利だというのにそんなのは全く関係ないといった様子で戦っていた。
機体よりも巨大な鎌を振るい、小さい何かを射出し、ビームを撃つ。
普段であれば全く信じられない光景だったが、それでも2人が混乱せずに見ていられたのは、完全に予想外の光景だったからだろう。
驚きが一周して、素の状態になってしまっていた。
「それに……多分この状況から考えてあの1人の方に乗ってるのってアクセルでしょ?」
「だろうな」
その辺だけは2人共全く異論がなかった。
この2人にとって、アークエネミー……アクセルというのは、圧倒的な力を持っている存在だ。
それこそ、自分達人間に対してだけではなく、サーヴァントとして考えても桁違いの存在。
それだけに、こうして多勢に無勢に見えてはいても全く心配といったものは浮かんでこなかった。
寧ろ、相手に対して憐憫すら覚える程。
「……あ、でもあの赤いカブト虫が結構頑張ってるわね」
「本当だ。他にも他のより数倍大きいのとかいるのに、あの赤いカブト虫が一番目立っているな」
それぞれに言葉を交わしながら、自分達には殆ど理解出来ない戦いを見ていると……やがて時間が来たのだろう。いつものように意識がシャットダウンされるのだった。
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