第一部
第六章 〜交州牧篇〜
八十三 〜来客〜
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主が下がった後で、睡蓮は璃々を見て、
「ところで、この子は? まさか、お前の子か……?」
「いや。紫苑……黄忠の子だ」
「璃々だよ、宜しくねおばちゃん」
「ははは、俺もおばちゃんか。ま、そりゃそうだ」
睡蓮は苦笑する。
「璃々って真名のようだな。俺は孫文台、真名は睡蓮さ」
「……睡蓮様がそう仰せなら、私も教えないといけませんね。太史子義、真名は飛燕です」
「うん、わかったよ! 飛燕おねえちゃん!」
満面の笑顔で返す璃々。
「しかし、驚いたぜ。歳三の周りには美女が選り取り見取りだからな、てっきり先を越されたかと思ったが」
「ふっ、無用な心配をせずとも良い。それより、二つ聞きたい事がある」
「ああ。俺がここに来た理由と、飛燕の事だろ?」
「そうだ。如何に大胆なお前でも、単身同然でとは穏やかではないな」
「……ま、その前に呑ませてくれ。お前のところの酒は格別だからな」
食事が済むと、璃々はそのまま寝てしまったようだ。
大人しい子供だが、穏やかでない会話を聞かされてもつまらぬであろうしな。
「ふーっ、いくらでもいけちまうな。この焼酎って奴は」
「睡蓮。呑むのは構わぬが、そろそろ本題に入ったらどうだ?」
「わかってるさ。まず、飛燕だが……自分から話せ」
「はい。歳三様、私が孔融様の下を離れたのはご存じですね?」
「うむ」
「その後、前揚州刺史の劉ヨウ様のところに参りました。些か、伝手がありましたので」
劉ヨウは飛燕の申す通り、今はその地位を追われ、荊州に逃げ込んだと聞いている。
睡蓮が揚州牧に任ぜられた事に対し、勅命に従わなかったようだ。
「これもご承知でしょうが、睡蓮様と戦になりまして。私は、雪蓮様と一騎打ちを演じました」
「で、全く腕が五分じゃねえか。コイツは殺すには惜しいってんで、先に劉ヨウの方を叩いたのさ」
「……帰るところがなくなり、私も残存兵をまとめて抵抗を試みたのですが。雪蓮様の説得で降る事にしたのです」
このあたり、私の知る流れと大きな違いはなさそうだな。
「歳三も知っての通り、飛燕は雪蓮だけじゃねぇ。うちの祭ともいい勝負が出来るぐらいだ、だから連れてきた」
なるほどな。
乱暴な説明だが、納得出来ぬ訳ではない。
「ならば、今一つの方も聞かせて貰おう」
「そうだな。歳三に抱かれに来た、ってのはどうだ?」
「からかうのは止せ。本気に取るぞ?」
「へえ、俺みたいな年増でもそう思ってくれるのかい?」
「お前は十分に美貌を保っているではないか。だが、私にはそのつもりはない」
「そりゃ残念だ。なあ、飛燕?」
「な、何故私に振るのですか!」
飛燕は、真っ赤になって頭を振った。
「あん? 何だ、お前も歳三にホの字か?」
「で、ですから何故そうなるのですか。私をから
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