第四章 誓約の水精霊
第八話 闇からの誘い
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げ出し、震える声で完成を告げるモンモランシーに、ルイズ達がよろよろと躙り寄っていく。ルイズ達の顔は赤く、身体は小刻みに震え、瞳はねっとりとした色を帯びている。今にも崩れ落ちそうになる身体を必死に保ち、モンモランシーに手を差し出していた。
「あ、あなた達の分はそこよ」
モンモランシーが指し示した先には、どろりとした液体が入った、三つの壺があった。ルイズ達はのろのろとその壺を掴むと、一気に飲み干した。
まずかったのか、顔をしかめながら、三人が薬を飲みこむ様子を確認した士郎は、モンモランシーの目の前にある、出来上がったばかりの薬が入った壺を掴むと、それを持って床に転がっているギーシュに歩いていく。ロープで縛られたギーシュの顔を持ち上げ、強制的に口を開けさせると、手に持った壺を逆さまにし、中身を流し込んだ。
「コバぶっ!!」
どうやら惚れ薬の解除薬は、ことさら不味いのか、気絶していたギーシュが飛び起きた。
「グログロゲロゲロごぼえぇぇっっ!!」
飛び起きたのはいいが、身体の自由がきかなかったことから、そのまま床に顔から倒れ込む。痛みか薬の不味さのどちらなのか、それともその両方か? ゴロゴロとギーシュは床の上をのたうち回っている。
「ルイズ、ロングビル、シエスタ身体の様子はどうだ?」
床を転がるギーシュを足の裏で止めると、士郎は三人に身体の調子を尋ねた。顔をしかめたルイズ達は、口を手で抑えながら、士郎に顔を向け、顔をヒクつかせながらも笑顔を向けた。
「う、うう〜ぐちのながが、にちゃにちゃする。で、でも、身体の調子は戻ったみたい」
「はしばみ草を凝縮したみたいな苦さだねぇ……全くこれじゃあ、今日は何を食べても味が分からないよ」
「はい、酷い味です。良薬口に苦しと言いますけど……うぅ、大分体は楽になりましたけど、今度は口の中が、うぅ……」
「ふう、その様子なら大丈夫そうだな」
ぐちぐちと文句を言うルイズ達に、ふっと優しく笑いかけると、踏みつけているギーシュを見下ろした。目を白黒させながら、ギーシュは士郎と目を合わせる。
「ギーシュ気分はどうだ?」
「え〜と、その……まずは足をどけてくれないかい?」
顔を背けながら、ギーシュは身体をもぞもぞと動かした。理性を取り戻したと判断した士郎は、ギーシュから足を退かすと、ギーシュを縛ったロープを解く。身体の自由を取り戻したギーシュは、よろよろと立ち上がると、机に突っ伏したモンモランシーに近づいていった。近づいてくるギーシュに気付くと、モンモランシーは、肩越しにばつの悪そうな顔を向ける。
「な、何よ? 何かよう?」
「その」
「あ、あなたがっ、わ、悪いのよっ、他の女にばかり声をかけ……る、か……ら」
「……モンモランシー」
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