第四章 誓約の水精霊
第八話 闇からの誘い
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んだ」
「傍……に? どう言うこと、ですか?」
「あの戦いで、僕の力になってくれる人はその殆どが死んでしまった。だから、今は一人でも多くの信頼できる人が必要なんだ」
「でも、そんなことを言われても」
怯えたように、左右に首を振りながら、アンリエッタは後ずさり、ウェールズから離れていく。逃さないように、ウェールズは後ずさるアンリエッタの腕を掴む。そして、勢い良く引き寄せ、再度自身の胸にアンリエッタを収める。
「っあ」
「アンリエッタ。僕には君が必要なんだ」
「う、ウェールズ、さ、ま」
怯えを含ませた瞳で見上げ、アンリエッタはウェールズを呼ぶ。
女王としての責任がある。望んではなかったとはいえ、自身が選んだ結果だ。
自分の意思一つ、指示一つで、多くの人の運命が狂わさてしまう。
望んでいなかった権力。
欲しくない地位。
でも、自分が選んだのだ……。
なら、自分には責任が……ある。
でも……胸の奥から、燃える程に熱い何かが全身を巡る。愛する人から必要とされている。助けを求められている。この衝動に身を任せたい。ウェールズの手を取り、何もかも捨て共に行きたい。だけど、でも、しかし……。
「少し、もう少し待って下さい……お願い、明日まで待って。わた、わたしは……」
「だめだ、それでは間に合わない」
顔を背け、必死に声を振り絞るアンリエッタの肩を掴み、ウェールズが無理矢理自分の方に向けた。恋と女王としての責任の間に揺れ、怯えたような顔をするアンリエッタを見つめる。
見つめてくるウェールズに対し、何か言おうとしたのか、口を開け、
「アンリエッタ、君を愛している。だから、一緒に来てくれ」
「ウェーる――んむ」
ずっと欲しかった言葉と共に、口を塞がれる。身体が……心が満たされる。あの甘い、甘い感覚が全身を覆う。身体が溶けてしまいそうだ。
纏まらない思考、波打つ心……現実と夢が入り混じる感覚に、冷静な判断が出来ない。だから、アンリエッタは最後まで気付かなかった。いつの間にかウェールズが杖を握っていたことを。自身に眠りの魔法を掛けられていることを……。
アンリエッタが眠りの魔法にかかっている頃、ルイズ達は魔法の薬の効果を解除していた。
魔法学院に戻った士郎達は、直ぐにモンモランシーの部屋に向かった。部屋に戻ったモンモランシーは早速『水の精霊の涙』を使って、解除薬の調合を始める。暫らくの後……。
「で、出来た……こ、これで、ぎ、ギーシュが元に……」
「わ、わたし達の、ぶ、分は、どう、ぅあ……のよ」
「そ、ろそろ……げ、限界なんだけ、ど、ね」
「わた、わたしも、もう」
机の上に身体を投
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