第八十九話
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き継ぎ、ですか?」
SAOのデータを引き継げることを知らないのか、里香が言ったことをひよりはオウム返しに聞き返す。
「はい。SAOのキャラデータって引き継げるんですよ!」
「その……わたしはSAOに行ってないから、違いますけど」
熱心に説明する珪子の傍ら、この中で唯一SAO生還者でない直葉が、少し疎外感を感じたようにぼそりと呟く。完全に吹っ切ることが出来ていないその感情に対し、気持ちは分かるが直葉に釘を刺そうとすると――脳裏に、あのSAO失敗者のことを思いだす。彼女も……リーベも、同じ気持ちだったのだろうか……?
「リーファはリーファで、金髪ポニテが羨ましいからいーの!」
それに気を取られている間に、里香が先に直葉へのフォローをこなしてしまう。照れくささを捨てるのとリーベのことを頭から追い出すと、ひとまず気を取り直して。
「……それより、装備を直すアテって何なんだ、里香」
「そうでした! もうもったいぶらないで下さいよ、里香さん!」
そんな無理やりな話題を逸らしの最中、店員の方から自分と直葉の分のコーヒーが届けられた。俺たちがミルクや砂糖を自分好みにカスタマイズしている間に、里香は「分かった分かった」とでも言うように手を振った。
「アシュレイさん……って知ってる?」
「……誰だ?」
「あのSAO1のカリスマお針子さんですか?」
俺と直葉が知らないという反応を返す最中、対して珪子とひよりはその名前を当たり前のように聞き返す。そう言われてみれば、SAOで名前を聞いたことのあるような気もするが、やはり珪子やひよりのように得心はいかない。
「ま、そのアシュレイさんがALOにいるって明日奈から聞いてね。せっかくだから会ってみたいついでにね」
「直葉、余ったけどミルクいるか?」
「あ、ありがとう」
「そこー、関係ないみたいにしなーい」
そう言われても、直葉はともかく自分は関係ないことは事実であり。直葉に余ったミルクを押し付けながら、おかわりを頼んだコーヒーを口に含んでいると、そういえば桐ヶ谷夫妻の行き着けのお針子だ、とも言っていたことも思いだす。その縁で再会したということだろう。
「あの人なら絶対直せますね! ……ってそれ、里香さんじゃなくて、明日奈さんのおかげじゃないですか……」
「親友の功績はあたしの功績ってことで」
「そうだ!」
そんなことを納得いかない、という顔をした珪子に言ってのける里香を後目に、直葉が名案を思いついたように手を叩く。
「なら誰かの家で集まって、みんなでログインしない?」
「いいですね直葉さん! そういうのやってみたかったんです!」
「女子会……ですか?」
「その女子会、性
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