第八十九話
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ほわという擬音が似合う笑顔を浮かべている少女に対し、俺が思っていることと寸分違わぬことを里香が呟いた。
「……クロさんなんですか!?」
喫茶店で合流した直葉のリアクションは、先程の里香に珪子と全く同じ反応だった。目の前に現れた彼女は、先に里香たちと《天使の指輪》クエストに行ったクロ本人である、という。確かにSAO生還者だったならば、あの学校にいてもおかしくはないが……
「改めて自己紹介しますね。私の名前は柏坂ひより、といいます。よろしくお願いしますね」
しかして、激闘を繰り広げている際のキリトに似た姿をしているアバターとは対照的に、ひよりと名乗る少女はどこか……改めて挨拶するのに深々と頭を下げるような、そんなのんびりとした少女だった。《クロ》の時は気を張っていたのか、どうやらこちらの方が素のようだけれど。
「あ……桐ヶ谷直葉です。よろしくお願いします」
「はい。SAO事件が終わってから学校行けてなかったんですけど、皆さんがいるならいけそうです。『向こう』と同じように、何だか背中を押されちゃった感じで」
「ひよりさんが来てくれれば楽しいですから、そんなことないですよ!」
遅れて合流した直葉がやや緊張した面もちで自己紹介し、ひよりがその自身の事情――先程学校にいたのは、入学前の見学のため立ったらしい――ということを語る。その《天使の指輪》クエストに関わっていないこちらとしては肩身が狭く、その分だけ頼んだコーヒーが他の面子より消費量が多い……と思っていた側からなくなった。
「すいません、コーヒーおかわりお願いします……直葉はどうする?」
「お、同じのお願いします!」
「でも驚いたわよねー。あんなキリッとしたクロが、何かふわーっとしてるんだもの」
「ふわーっと……ですか」
俺と直葉が店員の方にコーヒーを二つ頼んでいる間に、やはり気になっていたことを里香が問い直す。それを不思議そうに首を傾げているひよりに、そういうところがふわーっとしてるって言われるんじゃないか、と思いながら。
「何だか口調がハッキリしちゃうのは、VRMMOにログインしてる時の昔からの癖でして……アバターもキリト様みたいだったから、余計男勝りだったかもしれませんね」
彼女の口から発せられる『キリト様』という文言で吹き出すのを堪え、本人が聞いたらどう思うか考えて堪えきれず、コーヒーを飲んでいない時で良かった、と思いながら吹き出す。そんな自分の様子を、ひよりが不思議そうな視線で覗き込んでいた。
「そういえば、先程はごめんなさい。里香も珪子も向こうとそっくりだったから、つい嬉しくて」
「あー……あたしたちのはSAOのデータ引き継いだのだから、ランダムアバターじゃないのよね」
「データの引
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