アリアドネの糸
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がってるから無駄かも知れない。此処も早く離れなければ、いつレゾネクト本体が襲って来るか。
……それにしても。
「あぁ……びっくりしたぁ」
此処に着いて漸く息が抜けた心地だ。
時間を操るとか、心臓に悪いから本当に止めていただきたい。ほんの一瞬で事態を急変される此方の身にもなってほしい。
直ぐに合流する筈のマリアさん達も来ないし……あんなに血塗れで大丈夫なのか?
起きろ、クロスツェルというのにも何か意味があるんだろうけど、事前に説明が無いと混乱してしまう。
「……もしかして、前に言ってた対策かな」
クロスツェルさんを本当には死なせない為の、ベゼドラさん曰く物凄ぉぉく面倒臭い対策。
クロスツェルさんと話し合って決めた風な口振りだったけど、クロスツェルさんの記憶がレゾネクトに読まれてたら防がれるんじゃないか? と、密かに思ってた。それを見越して応用したとか。
だとしたら、更にややこしくなったのでは……
「フィレス様」
花園に戻ってたリースさんが、心配そうな顔で翔んできた。
「その……アリア様は大丈夫でしょうか?」
「なんとも言えません。ベゼドラさんが何かしたのは間違いないですが……精霊の皆さんは大丈夫でしたか?」
「はい。皆、すごく元気になりました。聖天女様にもフィレス様にも感謝してます」
「良かった」
泉に残ったマリアさんはリースさんに話を聴いて、泉を離れた精霊達を捜し回ってた。
レゾネクトから気配を消す目的で求めた花の実が大いに活用された甲斐あって、大多数の精霊は助けられたらしい。
私も、移動中偶然見掛けた精霊に実を持たせて回復させたり、泉に魔王は居ないと伝えたりしてた。
残念ながら間に合わなかった精霊は、それぞれの目の色をした花に姿を変えていたそうだ。
そう聴いて、花園の正体をちょっと考えてしまったのだが……知らなくても良い事が、世の中にはたくさん溢れてる。敢えて質す必要も無いだろう。思い過ごしかも知れないし。
「私達三精霊は何処まででもフィレス様達に付いて行きますから。及ばない点も多いと思いますけど、なんでも命令してくださいね」
リースさんの紅い目が私の目を真剣に見つめる。
本来の精霊は義理堅い種族なのだと、マリアさんが言ってた。
なるほど、私も元は嫌悪の対象であると知っていて、彼女達は惜しみなく協力してくれる。
「ありがとうございます。とても心強いです」
ならば私も、彼女達の気持ちに報いなければ。精霊達の穏やかな未来を築く手助けができると良いが。
「……う……」
「アリア様!?」
横たわるロザリアさんが小さく呻き、もぞ……と動いた。リースさんが慌てて顔を覗く位置に降りる。
「リースさん。今の彼女はアリアではなく、ロザリアさんです。多分
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