アリアドネの糸
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アリアは驚いてるからだろうけど、私は……
き……、聴いてて、めっちゃくちゃ、恥ずかしい……っ!
顔やら首やら背中やら、とにかく全身がむず痒い!!
なんだコイツ?
こんな性格だったか!?
やっぱり偽者? 幻!?
「レスター……」
「いいえ。罪人の『レスター』はもう、この世界のどこにも存在しません。私は『クロスツェル』です。ただ、意味が少し変わってしまいましたけど」
「……?」
「貴女達の心を鎖で繋いで、他の誰の手も届かない場所に架ける。どうか、私を愛してください。誰よりも何よりも。世界よりも、私を選んで」
やっぱり偽者かああああぁぁああ────っっ!?
死ぬ!
なんか、いろんな意味で殺される!!
ダメだ、コイツ。
なんとかしないと!!
「クロスツェル、私は……」
急速に膨れ上がっていく羞恥心で爆発しそうな頭を抱えて身悶える私とは正反対に、アリアはふるふると首を横に振った。
く……っ! 年の功ってヤツか?
スルースキル半端ねえ…………
って、違うか。
コイツは。
「私は、貴方を選べない」
うつむいて閉じた目蓋の隙間から、涙が一粒零れ落ちる。
「私は……」
小さな滝壺の近くに生えている花の実を摘んで。
気を失っているロザリアさんの長衣の袖に忍ばせた。
これで、しばらくは気配を隠せると思うが。
レゾネクトが相手では、無駄な足掻きかも知れない。
ここも、できるだけ早く離れなければ。
封印が解けてしまった今、レゾネクトがいつ襲ってくるか分からない。
それにしても。
「ああ、びっくりした」
ここに着いて、ようやく息が抜けた心地だ。
時間を操るとか、心臓に悪いから本当にやめていただきたい。
ほんの一瞬で事態を急変されるこちらの身にもなって欲しい。
すぐに合流する筈のマリアさん達も来ないし。
ベゼドラさんは、あんなに血まみれだったのに放置して大丈夫なのか?
居ない筈のクロスツェルさんに「起きろ」と言っていたのにも、ちゃんと意味があるんだろうけど。事前に説明がないと混乱してしまう。
「もしかして、前に言ってた対策かな?」
クロスツェルさんを本当には死なせない為の。
ベゼドラさん曰く、物凄ぉく面倒くさい対策。
クロスツェルさんと話し合って決めた風な口振りだったけど。
レゾネクトは対象の記憶を読み取る力を持っている。クロスツェルさんの記憶が読まれていたら妨害されるんじゃないのか? と、密かに思ってた。
それを見越して応用した? とか。
だとしたら、不測事態分余計にややこしい状況を招いてしまったのでは。
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