暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
アリアドネの糸
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のですが。体に異常はありませんか?」
 「異常って……」
 「詳しい理屈は解りませんが、この私はベゼドラの力で形を固定されています。一つの器に三つの人格と二人分の魂が同時に在り続けては、相当な負荷が掛かるのではないかと。ロザリアは大丈夫そうですが、貴女は大丈夫ですか? アリア」
 私の背後で膝を抱えて丸くなってるアリアの肩が大袈裟に跳ねた。
 コイツは、クロスツェルの過去を見てからずっとこの調子でうじうじ泣き続けてる。顔を合わせるのも怖いのかなんなのか、耳まで塞ぎやがった。
 「……嫌われてしまったのでしょうか?」
 「っ違う!!」
 クロスツェルの言葉に慌てたアリアは、勢いで顔を上げ
 「私は……! ……私の所為で……ごめんなさい……ごめんなさいレスター……ッ!」
 また、頭を抱えて泣き出した。うっぜぇ!
 「何故、その名前を」
 今は(ほとん)ど誰も知らない筈の「レスター」に反応した。
 ってことは、本物のクロスツェルなのか。
 そうか……ベゼドラが……。
 「……レゾネクトが、コイツにお前の過去を視せたんだ。契約を進めさせようとしたらしい。つか、なんだよあれ!? 私は謝れって言ったんじゃねぇぞ!? あれは、とにかく殴らせろって意味で! 勢いで!」
 そうだ。コイツが目の前に居るなら今の内に殴れるじゃないか。と、詰め寄って腕を振り回してみるが、私の握り拳はクロスツェルの体(?)を通過して見事に空回った。
 くそっ! 触れないのかよ! むかつく!
 「……もしかして、全部知られてしまいましたか?」
 苛立って歯ぎしりする私を無視したクロスツェルは、首を傾げて私とアリアを交互に見る。
 「ああそうだよ! 情けねーガキの時分から人の話を全く聴かないで都合良く解釈しやがってるお前まで、全部知ってる! アリアも私もな!」
 ビシッと人差し指を突き立てた私をじっと見て、変態キング神父は困ったと言わんばかりに肩を持ち上げて苦笑う。
 「私自身が伝えなければ意味が無かったんですけどね……仕方ありません。もう一度、ちゃんと聴いていただけますか」
 アリアがますます縮こまる。
 「嫌なこった。面倒臭い!」
 腕を組んで横を向いたら、クスクスと楽しげな笑い声が耳を撫でた。
 ベゼドラといいコイツといい……謝る気なんか全然無いだろ!
 「すみませんでした」
 しかも勝手に言い出すし!
 「それでも私は、貴女達を愛しています。ロザリア。そして、アリア」
 「……っ」
 実体でもないのに、くわぁっと急激に顔が熱くなる。
 この野郎、性懲りもなく……っ
 「止めて! 私は本物の女神じゃない! 貴方達を酷い目に遭わせた私に、そんな事言わないで!!」
 アリアが首を振ってクロスツェルの声を遮ろうとする。
 ……そりゃ、
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