アインクラッド 後編
年頃乙女、三人寄れば――
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だわ」
「そんなんじゃないってば。……それでリズ、実は、インゴットを探してるんだけど」
「インゴット?」
美少女というのは普段チヤホヤされている分、自分になびかない男性に魅力を感じる生き物なのだろうか……? そんな薬袋もないことを考えていると、突然エミが話の流れを変えた。話題の転換に乗り遅れたリズベットが聞き返すと、エミが頷いて言う。
「うん。そろそろ剣を変えようかなって思って。どうせなら性能は高いほうがいいし……デートの口実にも使えるかなって」
「それ、ホントはそっちがメインなんじゃないの?」
あまりにストレートな物言いに、思わずリズベットは吹き出してしまった。照れたような笑いを浮かべるエミに苦笑を浮かべながら、少しだけ天を仰いで考えを巡らせる。
「あたしが知ってるのだと……五十五層のクエストの話とか」
「それ、わたしも知ってる。うちのギルドでも話題になったわ。確か、まだ誰も入手できてないんだっけ?」
「そうなのよ。物凄い数の討伐パーティーが挑戦したんだけどね。ドロップ元と見られてる白竜はそんなに強くないんだけど、一向にドロップしないらしいの。だから、今は検証がメインに行われてるって話なんだけど……これはやめといたほうがいいわね」
「え、何で?」
興味津々という様子で話に耳を傾けていたエミが、頭の上にクエスチョンマークを浮かべて尋ねる。
「実は、その検証の過程で《パーティーにマスタースミスがいないと駄目なんじゃないか》っていう噂が浮かんできたのよ。あんたたち、鍛治スキルは上げてないでしょ?」
「マサキ君のは知らないけど……多分」
残念そうに声のトーンを落としつつエミが頷く。
鍛治スキルや商人スキルを上げている攻略組プレイヤーも探せばいないことはないが、当然のことながら数は少ない。第一、彼が鍛治スキルを上げているなら、鍔が壊れた程度で修復を依頼してくることはないだろう。
「となると……信憑性は少し低くなるけど、四十八層の隠しボスの噂かしら」
「隠しボス?」
間髪いれず、俯き加減だったエミが顔を上げてオウム返し。自分のカップにお茶を注ぎながらリズベットが頷く。
「三週くらい前かしら、深夜に四十八層の洞窟で狩りをしてたパーティーが、マッピングされてないエリアを見つけたらしいのよ。不思議に思ったそのパーティーが先に進んでみると、そこは巨大な鉱脈で、希少な鉱石アイテムやランクの高いインゴットがゴロゴロ。夢中になって採掘してたら、いつの間にか後ろからボスクラスのモンスターに襲われて、命からがら逃げ帰って来たらしいわ。で、その逃げ帰って来たプレイヤーが言うにはボスモンスターが持ってた剣の色が普通とはちょっと違ったらしくて、だからそのボスを倒せば未知のインゴットがドロップ
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