アインクラッド 後編
年頃乙女、三人寄れば――
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報やファッションについての情報交換や、戦略の立案を行う仲だ。
「って、デートの時間は大丈夫? 無理やり引き止めちゃったなら……」
「ううん。行く前にこれをピカピカにしとこうと思って、リズのところに行くつもりだったから」
アスナは腰元に携えたレイピアに触れた。
「そうなんだ。気合マンマンだね!」
「うん……。けど、必死すぎて引かれたりしないかな?」
「心配ないと思うけどなぁ……。服はいつものだし、アスナかわいいし。……それよりも、キリト君相手だと、そもそも気付いてくれる確率のほうが低いような……」
「それは……あるかも。っていうか、確実にそうなりそう……」
二人して、大きく溜息。このキリトの鈍感さというのは、アスナがキリトに恋して以来、いつも悩まされていた大きな問題だった。二人は何とかそれを掻い潜ろうと幾つも案を出し合ったのだが、未だに効果的な対処法は見つかっていない。
「ところで、エミの剣ってもう結構長いこと使ってない? 余計なお世話かも知れないけど、変えなくて大丈夫?」
にわかに重くなりかけた空気を払いのけるように、視線を落としていたアスナが話題を変えた。その両目は、エミの腰に提げられた片手剣に注がれている。
一瞬反応が遅れたエミだったが、人差し指をあごに当て、考えを巡らせながら答えた。
「えっと、今のがドロップしたのが四十二層の時で、ステータス的にはそこそこだったから……確かに、そろそろ変え時かも」
「だったら、一緒にリズのとこ行かない? リズなら、いいインゴットの話とか知ってそうだし」
「そうだね。着いてこうかな」
頭の中で予定を立てつつエミが頷く。
リズベットのところにランクの高いインゴットがあればいいのだが、そうでない場合は自らフィールドに赴いて探してくる必要がある。インゴットがドロップする場所と相手によってはパーティーメンバーを募る必要が出てくるかもしれない。
となると、今日は一日丸まる潰すつもりでいたほうがいいかも……。等というエミの考えを察したかのように、正面のアスナが得意げな顔で口を開いた。
「それじゃあ、インゴット探しにはマサキ君について来てもらうのはどう? それで連れ出して、二人っきりになっちゃうとか」
「……!」
その瞬間、エミの両目がきゅぴーんと音を立てそうな勢いで光を発した。マサキほどのプレイヤーであればエミと二人でインゴット探し程度なら十分行えるし、何よりごく自然に一日中行動を共にできる。しかも、その後お礼と称して次の約束を取り付けることだって簡単に――!
「……いい、いいよアスナ! うん、わたしそうする!!」
勢いよく椅子を鳴らして立ち上がるエミ。二人は顔を見合わせ、「今日こそは!」と目線で言葉を交わしながら力強く頷い
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