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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 20.
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い上下動を始めている。
 ベクター・マシンのパイロットが受ける負荷は、外観と深刻度が一致しないという。見た目は怪我もなく元気そうだが、一夜明けても尚、野生児の活動衝動が体力と連結しないとは余程の大ダメージだ。
 機体の修理はすぐに終わる。ZEXISのスタッフは優秀な者ばかりだし、ここはバトルキャンプでいよいよとなったらクラッシャー隊のスタッフの力を借りる事もできるのだから。
 但し今の様子を見る限り、次の出撃時、アポロは母艦で仲間達の応援に回る可能性の方が高かった。
 アクエリオンへの合体適性を持っているメンバーは、ZEUTHに7人もいる。怪植物にエネルギーを吸われた仲間にばかり無理な戦闘はさせない筈だ。
 案の定、その仲間の様子を案じたつぐみと麗花が、クロウ達とすれ違い透明なサロンのドアに張りついた。2人共アポロと同じエレメント操者で、つぐみは背が低くも膨よかな内向的少女。麗花は、痩せた長身の格闘少女だ。
 つぐみの「いたいた」は、勿論アポロを指している。「でも寝てる」
「ベッドから起きて食事に行けるだけでも凄いわよ」
 仲間の消耗を気遣う2人は、クロウから見えなくなるまでその場を動かなかった。
 仲間思いの光景は、見ている者にも暖かいものが湧く。
 次の戦闘でクロウと共闘するのは、月のアクエリオンか。それとも星のアクエリオンか。別の操者による太陽のアクエリオンという事もないではない。
「月…か」
 緑を基調にしたアクエリオンルナの勇姿を思い出してから、クロウはふと符丁めいたものを感じて立ち止まった。
 昨夜から、月絡みの話とよく出会う。
「まさか、な」
 詩的な世界も、幻想ファンタジーも、借金に追われている自分とは縁遠いものだ。単なる偶然に決まっている。
「さて、と」とクロウは、ロックオンに呼びかけた。今から藤堂を追いかけようにも、タイミングを逃してしまった感がある。「何から始めるか? アテナを捜すか、急いで藤堂の旦那を捜すか。それとも、第4会議室の前で昨日の事を俺達なりに思い出してみるか?」
「ま。何にせよ当てずっぽうで人捜しは、この広いバトルキャンプの中だと結構空しいだろ。俺はハロをトレミーに戻しておきたいし、屋外に出るついでにダイグレンを覗いてみようぜ。ナイキックも黒の騎士団のKMFも、収容先はダイグレンだ。上手くいけば、どっちとも会えるって寸法さ」
「それが一番だな」
 2人の相部屋に立ち寄り、ロックオンが相棒の球型ロボットを右の小脇に抱える。
 生憎アテナは、自室にいなかった。ナイキックの点検に行ったのだとラグが教えてくれたので、2人で屋外に出、母艦群を目指す。
 ところが途中、思わぬ事が起きた。左目を庇い、ロックオンが立ち止まったのだ。
 昨夜の対アリエティス戦に少ない睡眠時間。失った利き目の分まで
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