月下に咲く薔薇 20.
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ェルがクランの欄、ロックオンが中原の欄でそれに相当する記述を同時に指し示す。
「ここだ!」
「打ち合わせ終了直後の第4会議室。中原さんが花の為に花瓶を用意した時。ここに花との重なりがあるのか!?」
「打ち合わせ直後の第4会議室…」エィナも、同じ言葉を繰り返した。
なるほどと納得するクロウ達に、女性達の視線が集中する。
「これで、役割分担は決まったわね」
仕切るミヅキが、女性達全員の納得を引き出した。
「ま、仕方ないな。確かにあの時、俺もクロウもミシェルも2人とは一緒だった。そこでの言動を思い出すのは、俺達の役割だ」
「そうじゃないのよ。やるのは、あなた達2人だけ」優しく微笑む大山が、ロックオンの人選を一部修正する。「ミシェルには、外で起きた事を中心に思い出してもらうわ」
「どうして?」とクロウは尋ね返した。「正確さを追求するなら、ミシェルの話だって必要だろ」
「生憎、俺の記憶は今一つ曖昧なんだ。あの時の事が細部までは思い出せない」
眼鏡の少年スナイパーが、さも残念そうに肩を落とした。やりきれないものが大きいのか、瞳の奥で無念の感情が苛立ちの炎を纏う。
クランとミシェルの口論を思い起こし、クロウは「そうか」と言うに留めた。
あの時のミシェルは、確かにいつもの彼ではなかったように覚えている。それが記憶を曖昧にさせているのだとしたら、彼の分まで思い出すのが自分とロックオンの役割だという判断は決して間違っていない。
「それと、もう一つ」大山が、外出の叶わない2人を視線で指名した。「もう一度アテナの話を聞いて欲しいの。あのホワイト・アウトの瞬間、何か見聞きしていないか、とか。…報告を躊躇うような些細な事の発掘こそ、今は重要な気がするのよ」
「そいつは、女の勘ってやつか?」
会議中の事を思い出し、クロウも勘を仄めかしてみた。
「どうかしら。こういうきちんとした表を作っているから、自然と些細な事一つ一つに目が行くだけよ」
「引き受けた。アテナからの聞き取りだな」
「ええ。その間に私達は、もう一度昨日の再現をしながらショッピング・モールまで往復してみるわ」
「気をつけろよ、みんな」とロックオンが、移動を始める仲間達に手を挙げる。「昨日の今日だからな」
「そっちもね」一度振り返る谷川が、「こっちはきっと大丈夫」と付け加えた。「斗牙君達にソレスタルビーイング、キラ君達も一緒でしょ。ボディガードは頼りになる人達ばっかりなんだから」
「おいおい! どうして俺が、その頼りから外れるんだよ」途端にデュオが、顔を歪めて不平を唱える。「目の前にもいんだろ! もう1人。こうして付き合いはいいし、気もきいて、やたら使える優秀な人間が」
「えーっ」女性達が笑いながら、わざと煙に巻く。
「そろそろ時間ね。行くわよ、みんな」
「はい!」
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