第2部
第8話 お前に最高の○○○を与えてやるッ?? 前編
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合うと思うよ」
「か、かわ……ッ??」
「うん、俺なんかじゃ釣り合わない位には」
機関部が融解するんじゃないか、といわんばかりに鼓動が高まる。
鎮守府には提督位しか男が居ないとはいえ、こんな風に褒められたのは初めてだった。
軽巡洋艦だった頃から、斬り込み役として最前線で砲火を交えていた為に何時も生傷が絶えず、同じ艦娘からも尊敬や信頼の言葉を掛けられても「女」としての部分を褒められた事はなかった。
女として受けた2度目の生。
本当は足柄や扶桑みたいに女としての部分を誰かに見て欲しかった。
髪の手入れや化粧だって自分なりに試行錯誤を繰り返した。
初めこそ「誰か」に見てもらいたい一心だったが、今では1人の女として「一葉」に見て欲しかった。
「ん〜、でもやっぱ俺なんかじゃ釣り合わないな。
そもそも……」
「そもそも……なんだよ」
「……俺は提督でもあり、MS乗りだから。
MS乗りはMSに乗って死ぬ、そう決まってるんだ。
出撃したら最後、無事に帰って来れるかもわからない。
そんな俺の為に、姉さん達がまた悲しむなんて、俺は嫌だ」
「……」
???
数時間後
艦娘寮棟 球磨型居室
「……で、なんで木曾は不貞寝してるんだクマ?」
「……ほっとけ」
「にゃ〜……ゴロゴロ……」
あれから数刻過ぎて。
半ば玉砕に近い別れ方をして互いに本来の任務に戻った後、 就寝前の休息時間に部屋に戻った俺は、姉2人が寛ぐ炬燵に入って寝転がっていた。
「……一葉に振られたクマ?」
「………………なんで知ってんだよ……」
「予想だクマ。
大体、何年来の付き合いだと思ってるクマ」
実の姉に事実を見抜かれ、更に不機嫌になる。
「……情けねぇなぁ…無駄に空回りして……無様な道化だ……」
「そんな事ないクマ」
球磨が静かに、俺の言葉を否定した。
「木曾は道化なんかじゃないクマ。
必死に自分を磨いていたクマ、その努力は決して無駄でも無様でもないクマ」
「……」
「木曾の気持ちを真っ直ぐぶつければいいクマ。
一葉だって満更でも無い筈クマ」
球磨は徐に立ち上がり、箪笥の引き出しから2枚のチケットを取り出した。
「これやるクマ」
「……なんだよこれ」
「地元の映画チケットクマ。
2人分あるクマ、これに一葉を誘うクマ」
「……なんだってこんなもん持ってんだよ」
「本当は一葉とクマで行くつもりだったクマ。
でも木曾に譲るクマ。
妹の幸せも姉の幸せクマ」
「多摩姉ぇはいいのかよ……」
「気にすることないニャ。
妹の後押しも姉の務めニャ」
不意に手渡されたチケットを握り締める。
くしゃくしゃになったチケットを手に立ち上がり、靴を履いた。
これだけされて
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