二十二話:Fate〈運命〉
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が滅んでいくのだと思い、少し悲しげな表情を見せる。
そんな闇の書の意志に業を煮やしたのは、なのはであった。
魔導士の杖を血が滲むほどに握りしめ、キッと睨みつける。
「だから…ッ、どうして諦めるの!? 終わるまでやってみないと分からないじゃない!」
「あり得ない。機械である私が計算して不可能だと判断されたことだ」
「この、駄々っ子! いいよ。それなら私が―――奇跡を起こしてみせる!」
アクセルシューターで群がる触手を撃ち落としていきながら砲撃の構えをとる。
不屈の魔導士の杖は奇跡を起こす魔法の杖。
幾度の危機にも決して折れることなく奇跡を起こし続けてきた。
ならば、今度もまた奇跡を起こすのが道理だろう。
「ディバイン―――バスターッ!」
「盾を」
『Panzerschild.』
遥か先からも視認することが可能ではないのかと思わせる極太の光の束。
心優しい少女の桃色の魔力砲撃は阻むものなど何もなく突き進む。
闇の書の意志は避けることなどせずに正面から盾でもってそれを防ぐ。
貫き通そうともがくなのはとは正反対に闇の書の意志の表情は涼しげだ。
いくらなのはの魔力量が規格外と言えども、無尽蔵に魔力を持つ相手には及ばない。
「……闇に沈め」
闇の書の意志は再び血の刃を出現させ動けないなのはを串刺しにしようとする。
だが、何故か体は思う通りに動かずに回避行動を行ってしまう。
まるで、相手を倒すことよりも自分自身の身を守ることを優先するかのように。
「本当に暴走の開始が早いな。それだけ主の悲しみが深いということか……」
防衛プログラムが徐々に自分の体を乗っ取り始めたことに気づき憂いに満ちた声を零す。
自分とほぼ同一の存在ではあるが、それでも乗っ取られるという感覚は気持ちの良いものではない。気づけばもう一方からもフェイトが砲撃を放ってきていた。
沈み込むような気持になりながら彼女は防衛プログラムに身を任せるようにシールドを張る。
そんな状況を心待ちにし、見つめていた者がいることを知らずに。
(アリア、もうそろそろだ。永久凍結の準備を)
(……分かっている)
一進一退の攻防を続ける三人に気づかれぬように静かにその姿を現すアリア。
管理局のデバイス技術の集大成。
氷結の杖、『デュランダル』は既に待機状態から通常状態に移行されている。
後は、クロノの魔法の師でもあるその卓越した技術で最強の凍結魔法を唱えるだけ。
静かに、しかし、抑えられない心臓の動悸を意識しながらゆっくりと近づく。
三人はその存在に気づくことなくなおも苛烈さを増す戦闘を行い続け、やがて戦場を海へと変える。そして、数秒とも、数分とも、数時
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