二十二話:Fate〈運命〉
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しかしながら、闇の書の力は恐ろしく打撃力の強化に加えてシールド破壊の効果も兼ね備えた拳となっていた。
罅割れる防壁に冷や汗が流れる。なのはも援護射撃を行おうとするが間に合いそうにない。
今度は仕留めるとばかりに死神の鎌のようにゆらりと魔拳を構える闇の書の意志。
それがフェイトにとってはスローモーションに見え、次の瞬間には殺られると直感する。
闇の一撃が打ち込まれる刹那―――一発の弾丸が闇の書の意志に襲い掛かった。
「……ッ!」
「フェイトちゃん、大丈夫!?」
「まさか……今の」
自身の頭部を狙った一撃に少しばかり気を取られてフェイトから気を逸らす。
その一瞬隙を突き、フェイトは得意の高速機動で脱出する。
頭部を撃たれたにも関わらず、分厚い魔力で何事もなく防いだ闇の書の意志は弾丸が飛んできた方を向く。
フェイトとなのはも覚えのある攻撃に同じ方角を向く。
そこには、ビルの屋上でワルサーを構えた状態で煙を吹かす切嗣が立っていたのだった。
「馬鹿げた魔力だな。今まで散々主を喰ってきただけはある」
「はやてちゃんのお父さん!?」
「君達があれと戦うのなら援護ぐらいはしてやる」
「で、でも……一体何が目的で?」
闇の書を完成させたにも関わらず、何故かその闇の書と争う切嗣に疑問が絶えない、なのは。
だが、切嗣にはその疑問に答える気もなければ、余裕もなく、時間もない。
全神経を闇の書の意志の攻撃に向けるだけだ。
「悪いが長々と話す暇はない。早速か!」
『Blutiger Dolch.』
「固有時制御――二倍速!」
自身の周りを二十以上に及ぶ血の刃で埋め尽くされた瞬間に高速軌道を展開する。
その素早い対処のおかげで肉体の損傷は阻止できたが、コートの端は背筋が凍るほどの切れ味で切断されてしまった。
やはり、自分には荷が重い相手だと再認識し、再び物陰に隠れながら移動を始める。
「切嗣、なぜ邪魔をする。全てはお前が主を絶望させたのが原因だというのに。お前も世界を壊すのが目的ではないのか?」
闇の書の意志の問いかけにも当然切嗣は答えを返さない。
黙って息を潜め、再び陰から狙うだけである。
闇の書の意志は隠れて姿を現さないのであれば辺り一帯を消し飛ばしてしまおうと考え手をかざす。
しかし、現れたのは彼女が意図した物とは違う天をも焦がす無数の火柱だった。
「早いな……すぐに暴走が始まる。そうなる前に、主の願いを」
「闇の書さん! お願いだから止まってください!」
「仮に私が止まったとしても、暴走からは逃れられない。もう……何度も経験したからな」
今までの主と同じようにはやて
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