二十二話:Fate〈運命〉
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ン。
理想のために支払った対価を無駄にせぬ為に諦めることができぬ男とは違う。
「だとしても、私は主の願いを叶えるだけの道具。何をしても私の行動は変わらない」
「道具? そんなの……嘘だよッ! だってあなたはこうしてお話しできるじゃない!」
「お前達のデバイスもそれぐらいはできるだろう」
「違うよ、レイジングハートは―――私の相棒だよ!」
『Yes. My master!』
己を道具と呼ぶ闇の書の意志に対してなのは道具ではないと力強く告げる。
例え、デバイスという存在であってもそれはただの道具ではない。
己が生死を共にする、強いきずなを育んだ相棒なのだ。
その気持ちはフェイトもまた、同じである。
「そうだよ、ただの道具のはずがない。ね、バルディッシュ」
『Yes, sir.』
「心のない物は等しく道具だろう。私には心がない」
「そんなこと言っても信じるもんか…っ。涙を流しているのに心がないなんて信じるもんか!」
自身の相棒、バルディッシュを魂を込めて振るい、立ちふさがる巨体を斬り伏せながらフェイトが雄叫びを上げる。
彼女の言うように闇の書の意志の瞳からは泉から湧き出るかのように涙が溢れ出していた。
闇の書の意志は彼女の指摘に軽く涙を拭い取り感情の薄い声を返す。
「これは主の涙だ。道具は命じられたことを為すための存在。主の願いが滅びなら、全てを滅ぼすだけ」
「だから…ッ。そんな願いは本当のはやての願いなの? いつもはやては何もかも壊れてしまえばいいと思っていたの?」
「…………」
「違うよね? 私達でも違うってわかるんだから、あなたが分からないわけがないよね?」
フェイトは静かに、ゆっくりと、諭すように話しかけていきながら近づく。
闇の書の意志はそんな彼女様子を心底理解できないような視線を向ける。
どうして、救おうとするのかが分からなかった。
はやてはともかく、自分までも救おうという意思が手に取るように分かるのだ。
なぜ? 自分には助けられるような価値などないのに。
幾ら考えても答えは出ない。しかし、そのうちに思考している己に自虐の笑みが起こる。
機械が、道具が、考える必要などない。機械はただ与えられた命題をこなすのみ。
主には夢の中での安らぎを、それ以外の全てには破壊を与えよう。
「闇の一撃で沈め」
『Schwarze Wirkung』
「バルディッシュ!」
『Defenser plus.』
あと少しでこちらに到着するいうところで闇の書の意志は自らフェイトに近づき魔力の鉄拳を叩き込む。
一撃でも入れられば落ちかねない為、フェイトもすぐさま防壁を張り防ぐ。
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